第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
涙を流し、震えた声で懇願しながらその体に抱きついて許しを請うと、大きな手のひらが優しく頭を撫でる
見上げると、先程まで無表情だったディオンは優しく愛情に満ちた表情で見下ろしていた
ディオン『本当に優しいんだね、僕らの天使。でもパパは心配なんだよ。君が傷つけられることが。そして君が、自分を傷つけた相手を簡単に許してしまうことが』
『パパ、私はちゃんとその人が心から反省してるの分かってるから許してるの。お願い、分かって?これから心配させないようにちゃんと気をつけるから..ちゃんと、良い子にするから..』
ディオン『...君はいつだって良い子だよ。良い子過ぎて、困るんだけど。でもまぁ、そんな君を泣かせてまでこれ以上彼を責めてはいけないね』
『パパ..?』
ディオン『許しはしない。でも、関わるなと言ったのは撤回するよ』
レイラを抱きしめながら視線をリドルに向けると、リドルは僅かに目を潤ませながら謝罪の時と同様に深く頭を下げた
リドル『あ、ありがとう、ございます..っ』
ディオン『その代わりに、この子に何かあった時は必ず守ると誓って』
リドル『はい。必ず..必ず彼女を守ります。この命、ある限り』
ディオン『..話は以上だよ。いきなり呼び出して悪かったね』
そう言うと、レイラを優しく引き離すと背を押してリドルの元へ行くように促し、自分はエミリアの方へと歩き出した
一方、レイラは急いでリドルの元へと駆け寄り、既に両腕を広げて待っていたその胸に飛び込んだ
『リドルさん..っ..』
リドル『すまないね、君に無様な姿を見せてしまったようだ』
『そんなことない。私の方こそごめんなさい。パパは、もっと優しくて温かい人なのに..』
リドル『いや、君のお父様の言うことは正しいよ。君や周りが許してくれたから、すっかりその優しさに甘えて自分のしたことの重さを忘れていた。だけど、君のお父様のおかげで、ちゃんと罪と向き合えたんだ。むしろ感謝してるよ』
『リドルさん..』
リドル『それに、お父様に言われなくとも、いつだってボクは君を守るよ』
『..嬉しい』
リドル『それが、君を愛した者の使命だからね』