第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
リドル『そ、それは..』
ディオン『ああ、先に言っておくけど勘違いしないでね。この話はあの子の中にいる自我を持った黒兎の力..今はノアって言うんだっけ?その話をしてる時に、ノアの目覚めたきっかけが君からの言葉だったってことで知ったわけだから。決してあの子が恨みついでに言ったわけじゃないからね』
リドル『は、はい』
ディオン『改めて聞くけど、あの子に”呪われた忌み子”と言ったのかな?』
リドル『...はい。僕は去年、彼女に対してそのような言葉を言いました。紛れもない事実です』
その言葉を聞いて、ディオンの目がすうっと細められる。明らかに雰囲気が先程よりも悪くなっていくことに、全員が感じ取った
エミリア『ディオン。その話はもういいでしょ?あの子はもう気にしてないって言ったし、本人たちの間でもう仲直りはしたって。だから私達が今更責めることじゃないわよ』
纏う雰囲気に危険を感じたエミリアがそっと側に近寄って優しく語りかけるが、ディオンは首を横に振った
ディオン『相変わらず君は優しいね。でも、そんな簡単に片付けていいことじゃないんだよ。言葉自体も問題があるけど、何よりその言葉があのノアを目覚めさせるきっかけになってしまった。そのせいで、今あの子は酷く苦しんでる。
この意味が分かるかな?』
リドル『ぼ、僕のせいで..彼女が』
ディオン『そう。君のその言葉さえなかったら、ノアは目覚めずに、純粋な黒兎の力が芽生えたかもしれない。そうなれば、あの子が抱えるものは今よりずっと軽いものだったはずだ。君は、自分の言葉で一人の人間に負わなくていい荷物を背負わせた』
リドル『っ..その件については、僕の起こした事件の後に本人に謝罪しました。ですが、その両親であるフィリアスさんにも謝罪をしなくてはならなかったのに、遅れてしまったことと合わせて謝ります。
娘さんへの心無い誹謗中傷、及びそのことに対する謝罪をご両親に今までしなかったことを心からお詫びします。
本当に、申し訳ありませんでした』
真剣な面持ちで二人に対して深く頭を下げる。そんな姿に、離れたところで見ていたユウたちは驚きつつも、彼の真剣さが痛いほど伝わってきていた