第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
困ったように笑いながら頭を撫でてやると、勢いよく抱きつかれ胸にスリスリと顔を擦り寄せられる
エース『よしよし..相変わらず甘えん坊だよな』
『..嫌い?』
エース『好きだけど?もっと甘えてくれてもいいぜ』
『充分甘えてる』
ユウ『ちょっと、今はグリムを探しに行くんでしょ。早く行くよ。レイラは僕と手繋ぎながら行こうね♪』
『ん』
エース『あっ!くっそ取りやがって』
ユウ『渡さないから』
ナイトレイブンカレッジ・メインストリート
そうしてユウたちはグリムを捜索するために、クロウリーの言いつけを無視して外に出ていた
デュース『おーい、グリム〜!』
エース『ばか。オレらは寮へ戻ってろって言われてるんだから、もっと声落とせって。それに、消灯時間後に無断で寮抜け出してるのがバレたら、寮長に首はねられんぞ』
デュース『あっ..そうか。グリム〜、出てこい。お前の好きなツナ缶があるぞ』
懐からツナ缶を取り出し、軽く振りながら小声で呼びかけるも反応は一向になかった
『ここにはいないのかな』
すると、静寂のメインストリートにプルルルと突然着信音が流れ始め、全員肩を震わせて驚いた
エース『だから音出すな..って、ユウの電話が鳴ってるのか。もしかして..』
ユウ『..学園長からだ』
1つの可能性にゴクリと唾を飲みながら通話ボタンを押した
学園長『ユウくん。イグニハイドのシュラウドくんたちが、グリムくんの捕獲に成功しました。いやぁ、早々に捕獲できて助かりましたよ。そうでなければ明日の総合文化祭が中止になり、アンブローズ殿にどんな嫌味を言われたか..
あ、いや、ゴホン!なんでもありません』
クロウリーとの電話に出るユウの横では、レイラは兎耳をピンとそば立てながら会話の内容に聞いていた
学園長『捕獲されたグリムくんは、まだ話が聞ける状態ではありませんが..会話が可能になり次第事情徴収を行う予定です。学外の調査機関への調査も検討中です。
そんなわけで、君たちは暫くグリムくんとは面会謝絶です。では..』
ユウの返事を聞かずに一方的に通話を切られ、ツーツーという音が続いていた