第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
瞳を潤ませながら縋るように抱きつくが、クロウリーはその体を優しく抱きしめ首を横に振った
学園長『貴女の気持ちは痛いほどよくわかりますが、彼の状態によっては、もうこの学園にはいられなくなるでしょう。とにかく、すぐに教員と寮長を集め、一刻も早くグリムくんを捕獲しなくては』
デュース『そ、そんな!』
学園長『私はこれで失礼します。ユウくんたちはしっかり戸締まりすること。ハーツラビュルの二人は、寮に戻るように!』
そういった後に、小さく何かを呟いたクロウリーは、全員に背を向けてオンボロ寮を出ていった
『..グリムが心配。このままじゃ追い出されちゃう』
ユウ『レイラ、泣かないで』
一滴涙を落とす頬に手を添えて、ユウは拭い取るように目元にキスを落とす
エース『学園長の話だと、このままだとグリムが危険なモンスターとして、退治されちゃうかもってこと?』
デュース『グリムに限って..いや、確かに意地汚いし我慢は効かないし自分勝手なところはある。でも理由なくユウや他の生徒を傷つけるような真似、あいつはしない..しないはず、多分、きっと..』
段々と自信なさげに声を落としていくデュースに、涙が引きかけていたレイラに再び雫が溜まっていく
エース『こーら。逆に不安を煽るようなこと言うなって。まあ、モンスターって猛獣だし、人里に出て悪さすればニュースにもなる。学園長の言うことにも納得』
デュース『エ、エース!』
エース『でも入学してから半年、ユウとコンビで何だかんだ上手くやってたじゃん。レイラも一緒にいたからバランスも取れてたし。それに..オレらともさ』
デュース『..!!ああ、他のクラスメイトとも、すっかり打ち解けてた』
エース『で、どうする?つーか、ユウたちはどうしたい?』
ユウ『グリムに直接話を聞きたい』
『こんなことでお別れなんて、や!』
エース『そう来ると思った。んじゃ、パパっとあのバカを探し出しますか』
デュース『だな!みんなより先にグリムを見つけて、一発シメたら話を聞こうぜ!』
ユウ『うん。二人共、ありがとう。レイラ、外は寒いからしっかり上着を着ようね』
『ん..みんな、ありがと』
エース『もー、だからそんな泣きそうな顔すんなって』