第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
エース『オーバーブロット状態を落ち着かせるためには、あの化身を何とかして本人から引き剥がさないとだめなんだよね』
デュース『ああ。今まで僕達が遭遇した事件では、先輩たちをそうやって正気に戻してきたと思う』
ユウ『あとは、レイラみたいに化身の負のエネルギーを吸い取って空っぽにするとかね』
学園長『..ええ。オーバーブロット状態を解消するには、化身と対象者の魔法的連結を断ち切るしかない。まあ、例外としてレイラさんのような力の根源である魔力を吸い取ってそもそも存在の維持を不能にしてしまう手もありますが..
そして、化身は消失の際、化身内で凝縮されたブロットが、結晶化したという例があります』
エース『ブロットが結晶化?』
学園長『魔法石も、地中や空気中に溢れる魔力が何らかの要因で結晶化したもの。ですから、魔力の澱であるブロットが結晶化しても不思議ではない。とはいえ、私も現物を見たことがありません』
オーバーブロット自体が稀だとぼやくクロウリーに、その稀に何度も遭遇してるんだがとユウは苦笑いを浮かべる
エース『ねえ、学園長。今の話ってつまり..ブロットは少しでも体に悪影響なのに、それを更に凝縮したのが黒い石..ってことだよね?』
学園長『ええ』
エース『そんなもん何個も食ってたとしたら、何も影響がないわけなくね?』
デュース『じゃあ、グリムはその石を食べた影響で凶暴に..?』
学園長『..全ては憶測です。そしてグリムくんは我々と意思疎通できると言っても、やはり魔獣だ。ユウくんを攻撃してきた凶暴な姿が、彼の本性である可能性もある。明日も総合文化祭は続きます。
他者に危害を加える危険なモンスターを野放しにしておくわけにはいきません』
デュース『危険なモンスターって!グリムですよ!?』
学園長『私だってグリムくんを疑いたくありません。モンスターとはいえ、彼を信じて学園に迎え入れたんですから。しかし..』
『や!』
ユウ『レイラ..』
『クロさん、そんなこと言わないで。グリムは、グリムは大事なお友達で私達オンボロ寮の仲間なの!だから、追い出すみたいに言わないで..お願い』