第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
エース『いやいや、どんな見間違いよ』
ユウ『多分グリムがいなくなってることに焦って勘違いしちゃってたのかも。疑うような事言ってごめんね』
『ううん。グリムがいなくなったら、私も凄く焦ると思うから。それより、早く手当てしよ』
デュース『そうだ。学園長にも連絡しないといけないしな』
『えっと、救急箱..っとと』
ユウ『僕は大丈夫だから、そんな焦らないで。ほら、転びそうになってるし』
床につまずいたレイラを抱きとめると、そのまま腰に手を添えてエースたちを連れて談話室へと向かった
『(ユウに、嘘ついちゃった...)』
その後、手当を済ませたユウ達のもとに連絡を受けて駆けつけたクロウリーは、ユウからこれまでの経緯を説明した
学園長『君の部屋の鏡が異空間と繋がっていて、大きな耳を持つミッキーと名乗る存在と対話した..その後、姿の見えないグリムくんを探していたところ..突然凶暴化したグリムくんがユウくんを攻撃してきた..ふむ』
ユウ『グリム、また黒い石を拾い食いしてた』
学園長『黒い石、ですって?』
エース『え?黒い石って..入学したばっかの頃、グリムがドワーフ鉱山で拾い食いしてたやつ?』
ユウ『うん』
デュース『そういえば、グリムのやつ..ローズハート寮長がオーバーブロットした時も、庭に落ちていた黒い石を美味しそうに食べてたな』
エース『でも、あの時は凶暴になったり様子がおかしくなったりはしてなかったじゃん。っていうか..その黒い石って、そもそも何なの?』
学園長『..私は現場を見ていないので何とも言えませんが..グリムくんが食べていたという黒い石は、もしかするとブロットの結晶かもしれません』
デュース『ブロットの、結晶?』
『ブロットがいっぱい溜まった石?』
学園長『そうです。術者の体に蓄積しきれなくなったブロットが溢れ出して起こる現象です。ブロットは魔法を使用すると発生する廃棄物。強い毒素と、淀んだ魔力が含んでいます。そしてそれは、術者の強い負の感情を具現化したかのような巨大な化身を形作る』
その言葉にユウたちの脳裏に、過去の事件で現れた巨大な化身たちが蘇る