第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
ユウ『ありがとね。えっと、この傷なんだけど、僕の間違いじゃなかったらグリムにやられたんだ。二人に連絡した後、探しに外に出て、VDCの会場で見つけたの。でも、何だか様子がおかしくて..呼びかけたらいきなり飛びかかって引っかかれたんだ。まるで、僕のこと忘れちゃったみたいに』
『....』
エース『え?..今なんつった?』
デュース『そんな..本当にこれ、グリムにやられたっていうのか?』
ユウ『うん』
『ユウの手..痛そう』
労るようにそっと包み込むように手をとり、今にも泣き出しそうな顔で傷口を見つめる
ユウ『痛いけど大丈夫。心配かけてごめんね』
エース『とりあえず、一旦談話室に行こうぜ。その傷なら、早めに手当したほうがいいっしょ』
デュース『あ、ああ。そうだな!その後で、学園長にも連絡しよう』
『私が手当てする』
ユウ『..その前にレイラ、少しいい?』
『ん?』
やけに真剣な表情に、レイラは降りかけていたベッドに戻り、その場で正座をして真っ直ぐ見つめる
ユウ『..さっきまで、自分がどこにいたのか覚えてる?』
『??』
エース『どうしたわけ?さっきもなにもずっと寝てたんだろ?』
ユウ『僕の見間違いじゃなかったら、やっぱりレイラもいなくなってた。それで探しに行ったらグリムと一緒にいたんだよ。それで、僕がグリムに襲われているのをグリムの後ろで見てた』
『『!!??』』
ユウ『..教えて。さっきまで、どこにいたの?』
ユウの疑いの目とエースたちの驚きの視線が集まり、その場が一瞬シン..と静まり返る。緊張感にも似た空気にユウの頬に一筋の冷や汗が伝う
『..ううん、どこにも行ってないよ。ずっとここで寝てた』
ユウ『!?そう、なの?』
『ん。だから、今起きてグリムがいなくなってることも、探しに行ったユウが怪我して帰ってきたのも知らなくて、ビックリした』
ユウは信じられない、と自身の記憶を改めて思い出す。だが、何度再生してもグリムと一緒にいたのは間違いなくレイラだった
ユウ『..そっか』
『信じてくれない?』
ユウ『そんなことないよ!レイラは嘘をつかない優しい素直な子だって、僕は知ってるから。多分、僕の見間違いかな』