第69章 *イグニハイド寮編〜冥府の番人〜深刻ミッシング*
オンボロ寮・自分たちの部屋
ユウは夢を見ていた。人々の住む人界より遥か空の上、神々が住むとされる天界の国。そこの王と王妃の間に、一人の男の子が生まれた。喜ぶ王の傍らでつまらなさそうに見ていた青い炎の神は、王の朗らかな笑みとは真逆の渋い顔のまま、背を向けて去っていく
エース『..い、おい!ユウ!起きろってば』
ユウ『(雲の上の神殿が..ん?)』
微睡みの中、ユサユサと体を揺さぶられゆっくりと目を覚ました。そこは先程までミッキーと話していた寮の部屋で、傍らには寮服姿のエースとデュースが半分呆れ顔でこちらを見つめていた
エース『コラ。夜中に呼び出しておいて、寝てんなよ』
デュース『お前がこんな夜更けに連絡してくるなんて、驚いたぞ。グリムとレイラがいなくなったってどういうことだ?』
ユウ『あれ、いつの間に寝てたんだろ..』
意識を失う前に見たものとは違う景色に、まだ覚醒しきっていない頭を回転させる
ユウ『っ、そうだ!レイラもいないんだよ!』
エース『は?何言ってんの?レイラならお前の横でスヤスヤ寝てんじゃん』
ユウ『え..』
言われて隣を見てみると、そこにはまだ気持ちよさそうに眠っているレイラがいた
その事に酷く驚きながらも、同時に安堵の気持ちがこみ上げホッと息を吐いた
ユウ『良かった..でも、グリムはまだ』
エース『..ってお前!手の怪我どうしたんだよ。派手な引っかき傷..』
言われて見てみると、確かにくっきりと鋭い爪による引っかき傷が痛々しく残っていた
ユウ『これは..』
『んぅ〜..ん?』
デュース『レイラ、起きたのか』
『おは、よ..?あれ?何でエースとデュースがここにいるの?』
エース『ユウが突然、お前とグリムがいなくなったって連絡してきてさ』
ユウ『レイラ、ちょっと抱きしめさせて』
『え、いい..んきゅ..』
返事を待たずにその体を抱きしめると、柔らかな抱き心地と甘い匂いに幾分か落ち着き、深く深呼吸した後体を離した