第68章 *終曲ポムフィオーレ*
〔No side〕
弱い力で身をよじり抵抗し続けるレイラを、ルークは必死に声をかけ続けた
荒ぶった心が少しでも落ち着くように、決して彼女の心を壊さないために
そうしていると、段々と抵抗が収まり始め、もうルークが腕で押さえなくても逃げ出そうとしなくなった
ルーク『レイラくん..?』
体を離して前に回って顔を覗き込むと、幾分か落ち着いた表情で床を見つめていたのに気づき、内心ホッとしながら頬に手を滑らせた
ルーク『レイラくん。私のことはどれだけ恨んでくれて構わない。だけど、どうかあの日々を無駄だと..意味がなかったと思うのは...何より自分を傷つけるのはやめてほしい』
『....』
もうその目に涙は流れていなかったが、目元は真っ赤に腫れ上がり、それを痛々しそうに見つめながら、指の背でそっとなぞった
ルーク『君たちを裏切ったことは本当にすまない。それでもね、』
『...分かってる。狩人さんは自分の心に素直になっただけ』
ルーク『..全てを理解してくれなくていい。私はこんな男だと、知ってくれればいいんだ』
『......ん』
どこか虚ろな瞳に若干の不安を残すも、ルークは"メルシー"と呟いて再びその体を抱き締めた
オンボロ寮・玄関
ユウ『ほらほら、さっさと帰った帰った!』
エース『痛ってぇ!蹴るなってユウ!しかもなんでオレだけ!?』
ユウ『1番近いから』
エース『理不尽!!』
ヴィル『じゃ、短い間だったけど世話になったわね』
エペル『ほんとに、ありがと』
デュース『中々楽しかった。また来ても良いか?』
ユウ『レイラとイチャイチャしてない時だったらいいよ』
カリム『な~んか、あっという間だったなぁ。よし、VDCの健闘を讃えて今から宴でも、』
ジャミル『やめろ。さすがに俺も疲れたから早く帰って寝たい』
『.....みんな』
和気あいあいとする中、小さな声が聞こえ全員が一斉にそちらを見ると、別れを惜しむように悲しそうに笑みがあった
『ありがと...また、会おうね』