第68章 *終曲ポムフィオーレ*
ルーク『..彼らを、君たちを裏切る形になってしまったのは申し訳ないと思っているよ。それでも、』
『ヴィルさんたちの努力を..無駄にした』
ルーク『!!..それは違うよ、兎の君。彼らの、私たちの努力は決して無駄なことではなかった』
『でも優勝出来なきゃ、何も残らない..っ..!残るのは、ヴィルさんがあの人に負けたっていうことだけ..ずっと..ずっと..1番を目指してたあの人の想い。あともう少しで届きそうだった....っ』
目が熱くなって、目の前がユラユラして、涙がいっぱい出てきて止まらない
分かんないよ...なにも分かんない
このモヤモヤ、痛い、苦しいが何なのかも
狩人さんの想いも
ルーク『..君を泣かせてしまうなんて。許して欲しいとは言わない。だけど、どうかその涙を拭うことだけは許しておくれ』
『っ...やめてっ!!!』
ルーク『っ..!!』
狩人さんの手が伸びてきて思わず叫んだ。そしたら、窓から強い風が一瞬だけ吹いてきて部屋が少し揺れた気がした
その風に乗って、何か薄いものがヒラヒラ床に落ちてきた
『なに、これ...』
ルーク『!..私としたことが。1つ仕舞い忘れてしまったようだ』
それは、あの人の写真..
どうしてそんなもの、狩人さんが..?
"最後にルーク。あんたのことは信頼しているわ。でも、荷物が分厚いアルバムだけって..一体なんなの?"
"はは、それはただのライフワークの記録さ。肌身離さず持っておきたくてね。プライベートなものだから、今ここで開かれると恥ずかしいのだけど.."
あぁ、そっか....狩人さんは、あの人のことが好きだったんだね
さっきまで何も分かんなかったけど、1つだけ分かった
パフォーマンスなんて関係なかったんだ...
狩人さんは、もう...
もう....
『最初から裏切るつもりだったんだ...』
ひび割れの音が大きくなった気がした