第68章 *終曲ポムフィオーレ*
ジャミル『そう考えると、あいつが最後のステージをもう見たくないって言ったのも理解できる。完全にロイヤルソードアカデミーが中心みたいだったあの空間は、吐き気がするほど嫌だろうな』
ユウ『ジャミル先輩って、まだ付き合い浅いのによく分かりますね』
ちょっと悔しいなぁ、とぼやくユウに、ジャミルは苦笑いで応えた
ジャミル『いや、さすがにお前には勝てない。俺が分かったのは..まぁ、気持ちは分からなくもないからな。似たような感情を、俺も体験したからかもしれない』
カリム『ジャミル..お前..』
ジャミル『..何だ』
カリム『いや、やっぱりお前はスゴいやつだと思ってさ!』
ジャミル『はあ?何なんだいきなり』
屈託のない笑顔を向けられたじたじになっていたが、咳払いを1つして、真剣な眼差しでヴィルの横に座るルークへと視線を向けた
ジャミル『ということなんで、そこら辺の覚悟は出来てますか?..ルーク先輩』
ルーク『....実に苦しい状況だね』
射抜くような視線を受け、本気で困っているように眉を下げて目線を反らした
ユウ『ん?ちょ、え?あの、何でルーク先輩が?何かしたんですか?』
ルーク『..君には言わなくてはならないね。実はあの投票の話なんだ...』
ユウ『はあああああ!?!?ルーク先輩があの1票差の原因!?というか、ロイヤルソードアカデミーに入れてたなんて..』
嘘でしょ..と頭を抱え、突然のカミングアウトに回らない頭を必死に動かして理解しようとする。そして散々うんうん考えたあげく、大きく息を吐いて顔をあげた
ユウ『ルーク先輩。この事は絶対、レイラに言わないでください』
ルーク『それは何故だい?』
ユウ『当たり前でしょ!さっきの話聞いてました!?ただでさえ負けて悔しい想いをして、初めての感情に振り回されてるのに、負けた原因がまさかの身内側だなんて知ったら..きっとあの子は壊れてしまう』
ジャミル『今日でなくとも、多分いつ知ったとして平常心ではいられないでしょうね』
ルーク『私も彼女が壊れる様は見たくはない。けれど、もし彼女自身が知りたいと願ったら、その時はありのままの真実を告げるつもりだよ』