第68章 *終曲ポムフィオーレ*
エース『なるほどね。こっちは真剣に、それも文字通り死ぬほど努力して、ヴィル先輩が精神追い込まれてオーバーブロットするほどマジだったのに、それを"思い出作り"の一言のやつが優勝したのが腹立った...』
カリム『何だろーな。案外単純な考え方してるんだな、あいつ』
ジャミル『お前だけには言われたくないと思うぞ』
カリム『えぇ~..』
ユウ『単純..そうですね。でも多分、あの子はそういう単純な考え、感情しか知らないんだと思います』
ルーク『それもこの前話してくれた、彼女の過去が関係してるのかな?』
ユウ『そうですね。あの子がどこか人と少し違うのは、殆どが過去の影響からだと思います』
ヴィル『ちょっと良いかしら?』
エペル『あ、僕も..』
話に若干ついていけなくなった二人が控えめに手を挙げると、何のことか気づいたユウは"あぁ、"と声をもらした
ユウ『2人は知らないんでしたね』
ヴィル『先に聞くけど、これは本人のいない状況で知って良いことかしら?』
ユウ『本当は本人の口からが良いとは思いますが、2人とも..特にヴィル先輩は大丈夫です。(レイラがちゃんと名前で呼んでるし)』
ヴィル『そう..なら、聞かせてちょうだい。あの子が、何を抱えているか』
ユウは静かにレイラの過去について語りだした。ヴィルが信用されているとはいえ、ルークとエペルもいたため内容はあの日ルークに話した内容のみだった
ヴィル『...』
エペル『...』
ルーク『あぁ、何度聞いても痛ましい話だ。兎の君は、きっといつも心の奥で泣いているんだろうね』
ヴィル『話は理解したわ。昔、似たような実話を題材としたドラマに出たことがあるわ。確かに、そういう過去を持つ子供は、何かしら欠落しているというか、精神と肉体の年齢が合わないという事があったりする』
エペル『感情の部分がまだ育ってない、とか?』
ヴィル『そうね。恐らくレイラの場合は、過去に受けた傷が感情を閉じ込め、それが今になって少しずつ開かれている状態。だから感情の名前や浅い所までは知っていても、その深さや本質は全く知らない。
結果、子供のように単純な感覚で感情を表してしまう』