第68章 *終曲ポムフィオーレ*
『『『!!!』』』
デュース『最後のステージって、ネージュと一緒に歌ったあれか』
エース『でも何で"見たくない"なんて言ったわけ?』
エペル『よっぽど優勝出来なかったのが悔しかったんだね』
ジャミル『いや、そんな簡単な話じゃない』
顎に指を添えて考える仕草でポツリと呟かれた言葉に、全員の視線が一気に注がれる
エース『え、どういうことっすか?』
ジャミル『あいつもこの学園のロイヤルソードアカデミーを嫌う生徒と同じ、良い子ちゃんが嫌いなんだろ』
『『????』』
分からないと言わんばかりに首を傾げるエーデュースコンビに、軽くため息をつくと説明するように口を開いた
ジャミル『本番が始まる前、ネージュが報道陣のインタビューでこう言ったのを覚えてるか?』
"学校の友達と思い出作りがしたかったから。でも世界中の人達と一緒に歌えたらもっと素敵な思い出になる"
ヴィル『確かにそんなこと言ってたわね』
ルーク『ああ、彼らしい素敵な考えだ』
ジャミル『それがレイラにとっては不愉快だった』
エース『え!?でもそういうの、あいつも言いそうなことじゃないっすか』
ジャミル『レイラはそんな真っ白なやつじゃない。実際、あの言葉を聞いた後、レイラの表情が曇って胸の痛みを覚えた。多分あれは"苛立ち"からくる不快感だ』
ユウ『思い出作りっていうのがそんなに気に入らなかったのかな。でもどうしてそこまで..』
ジャミル『..俺たちの日々の練習、そして本番直前で、ヴィル先輩のVDCにかける想いを痛いほど知ったからだ』
オンボロ寮・ユウたちの部屋
グリム『レイラ、大丈夫なのか?』
『...まだモヤモヤしてる。頭もずっと痛い』
苦しそうに枕に顔を埋めるその頭を、グリムは肉球で優しくポンポンと叩く
グリム『ヴィルとの戦いの時にあんなに無茶するからだゾ。反省しろ』
『ごめん...』
グリム『オレ様がいてやるから、もう少し寝てるんだゾ』
『ん...おやすみ』