第66章 *衝突マックス*
『あのね、ヴィルさん。私、誰かを責めるよりも、大好きな人達と一緒に過ごす事に時間を使いたいの。だって、その方がずっとずっと素敵でしょ?』
ヴィル『....』
『そんな暗い顔、しちゃダメ。ヴィルさんはいつもみたいに、私たちを引っ張ってってくれないと』
ルーク『そうだよヴィル。互いに想う事はあるけれど、今君が彼女にしてあげられることは、VDCで最高のパフォーマンスを見せることじゃないのかい?』
ヴィル『....』
ヴィルが見渡すと、ルークの言葉に賛同するように全員大きく頷いた。それを見てヴィルも覚悟を決めたのか、表情を引き締めて頷き返した
ヴィル『..ええ。ええ、そうね。アタシが今できることを全力でやるしかない』
ルーク『それでこそ、私達の毒の君だ』
気合いを入れるために軽く頬を叩いたヴィルは、レイラの髪を優しくクシャっと撫で、真剣な表情でマレウスへと向き直った
マレウスも吹っ切れたようなヴィルに、先程まで彼に向けていた鋭い視線を柔らかいものへと変えた
マレウス『さて、シェーンハイト。この僕がここまでお膳立てしてやったんだ。たっぷり楽しませてくれるな?』
ヴィル『ふん。言われなくたって最高のパフォーマンスを見せてあげるわ。スタンディングオベーションする準備をしておいて』
マレウス『そうでなくては。では..本番を楽しみにしているぞ』
そう告げると、淡い光と共にマレウスはその場から姿を消した
ルーク『ふふ。まさか竜の君から祝福を受けられるとは。運は我らに味方せり、だね。今こそ、私達NRCトライブの結束を見せる時だ』
ヴィル『ええ..学園長への言い訳も、後のことも、全部アタシが責任をとる』
立ち上がった全員の顔を一人一人順に見つめていったヴィルは、キリッとした面持ちで高らかに叫んだ
ヴィル『ボーカル&ダンスチャンピオンシップーー絶対優勝するわよ!』
『『『おー!!』』』
悲しみに包まれた空の涙はもう、すっかりと晴れていた