第66章 *衝突マックス*
マレウス『何だ』
ヴィル『ありがとう。レイラを、助けてくれて。本当は、アタシが自分で何とかしなきゃいけなかったのに..』
マレウス『..1つだけ忠告しておこう。今後、もしまたあのヒトの子に危害を加えるような事をしてみろ。
その時は、僕がお前を跡形もなく消し去ってやる』
瞳の燐光が怒りの炎を灯して輝きを増し、瞳孔を細めて睨み付けるその姿に、ヴィルとユウは目の前に巨大な竜が唸りをあげているような感覚を覚え、全身が震え上がった
マレウス『肝に命じておけ』
ヴィル『っ、ええ、分かったわ..』
『ん...んぅ?』
グリム『おっ、目を覚ましたんだゾ!』
エース『レイラ、オレらが分かる?』
『ん、分かる..私の大好きな人達、だよね』
デュース『ふ、なんだそれは。でも、良かった..』
カリム『うぅぅぅ~っ!』
ジャミル『飛びつくなよ』
カリム『分かってるよぉ~..』
ヴィル『....』
ルーク『ヴィル、君もおいで。兎の君も待っているよ』
ヴィル『...ええ..』
こちらに行きたい様子を見せながらも、罪悪感と責任感で足が進まずにいたヴィルに、ルークは優しく微笑んで手招きをした
それを見たヴィルは戸惑いながらもゆっくり立ち上がり、レイラを囲む輪の中へおずおずと入っていく。そんな彼の姿に気づいたレイラは、深紅の瞳を嬉しそうに細めて笑みを浮かべた
『ヴィルさん..』
ヴィル『レイラ、ごめんなさい。最後までアタシは、あんたに苦しい思いを..』
『ヴィルさんはもう苦しくない?痛くない?』
ヴィル『アタシはもう平気よ。それより、自分の心配をしなさい』
『私も大丈夫。ヴィルさんが元気になって、良かった..』
決して自分を責める素振りも見せないレイラに、ヴィルはどんどん自分が許せなくなっていく
ヴィル『..何でそんなに甘いのよ。"アタシの呪いのせいで死にかけた、ふざけるな"って責めたらいいじゃない』
ギュッと拳を握りしめて俯くヴィルを、困ったように笑いながら、まるで諭すように優しい口調で語りかける