第66章 *衝突マックス*
マレウスの黄緑の燐光が鋭さを増して座り込むヴィルを上から見下ろした。その纏うオーラはまさに未来の妖精王の名に相応しい圧倒的な威圧感を放っていた
マレウス『その腕の中の小さな兎は、身を溶かされ、焦がされ..深い深い苦しみの中で既に死んでいただろうな』
ヴィル『っ!!!』
マレウス『自らの行いを恥じることだ。さあ、そいつを寄越せ』
正論を叩きつけられ、ヴィルは何も言えないまま黙ってレイラをマレウスへと引き渡した
『ぅっ...ぁ"っ...ツノ..た、ろ..』
マレウス『お前が何を考えているか当ててやろう。"シェーンハイトを責めるな"だな?』
その問いにコクンと頷くと、マレウスはレイラを抱く力を強め、少し切なそうに顔を歪めた
マレウス『お前は優しすぎる。お前の一族もみな優しすぎた。だからあんな..いや、今はやめておこう。お前を治してやるのが先だ』
マレウスは片手を呪いに染まった腕に翳し、魔力を込め始める
キラキラとした光の粒が吸い込まれるように入っていき、段々と腕の呪いの色が薄くなっていく
『はぁ..はぁ...』
マレウス『安心しろ、お前は絶対に死なせない。死なせてやるものか..』
愛しさを閉じ込めたマレウスの真剣な眼差しに、レイラは安心しきった顔で彼に身を委ね、自身を苦しめていた呪いが無くなっていくのを感じていた
そして腕の色が完全に元の色に戻ったのを確認すると、マレウスはホッとしたような顔でレイラの頭を優しく撫でた
マレウス『これで呪いは消えた。だが無理はするなよ。呪いは消えても暫くは体に不調が残るだろうからな』
『ん...ツノ太郎』
マレウス『何だ?』
『ぅ...ありが、と..っ..』
よほど呪いが苦しかったのか、レイラは涙を流しながらマレウスの首に腕を回して抱きつき、彼の耳元で小さく礼を伝えた
マレウス『...ああ』
マレウスはそんなレイラを強く抱き締め返し、そっと髪に口づける
マレウス『レイラ。早速病み上がりで悪いが、お前の愛らしい笑顔を見せてほしい。そうすれば、僕も心から安心できる』