第66章 *衝突マックス*
ヴィルは震える体を引きずるようにふらつく足取りで近づくと、ユウの手からレイラを奪うように抱き寄せる
ヴィル『アタシのせいで、あんたが死ぬなんて許さないっ!!こんな呪い、すぐにでも..っ!』
そう言って何度も解除を行うとするが、呪いは解除されるどころか依然としてレイラを蝕んでいく
ヴィル『何で..何で解けないの..っ』
『ぅ"..ぁっ..ヴィ..さ..』
ヴィル『レイラっ!!』
止まりそうな息で何とかヴィルの名を呼ぶと、霞む視界に普段の彼からは想像もできないほど酷く焦った顔が映る
レイラはこんな状況にも関わらず、初めて自分の名を呼んでくれたことに嬉しさを感じて小さく微笑んだ
ヴィル『~~っ!!マレウス!!あんたならどうにかできるんじゃないの!?もし、できるのなら..お願い、レイラを、助けてちょうだい..っ』
虚ろな視線で今にも力尽きそうなレイラを抱き締めながら、ヴィルはすがる思いで目の前でこちらを見ているだけのマレウスを見上げた
マレウス『....』
ヴィル『自分で起こした事なのに情けないのは分かってる。でも、アタシじゃどうにも出来ないの。お願いよ..この子は、レイラは..アタシにとって..』
段々と小さくなる声を聞き届け、マレウスは軽いため息をついた
マレウス『はぁ..良いだろう。2つ貸しだぞ、シェーンハイト』
ユウ『ツノ太郎、この呪いを解けるの!?』
マレウス『僕を誰だと思っている。この程度の呪い、会場を直すよりも容易い』
ユウ『っ!?じゃあ何でっ、』
マレウス『"何故、もっと早く呪いを解いてくれなかったのか"だろ』
ユウ『!!!』
図星をつかれたユウの目が驚愕に丸くしたのを横目に、マレウスはヴィルの元へ歩いていく
マレウス『自らの犯した過ちを自覚させるためだ。お前のことだ、シェーンハイト』
ヴィル『!!』
マレウス『僕がここに来ていなければ、この会場は壊れたまま。毒霧の被害を被る人間もいたかもしれない。何より、』