第66章 *衝突マックス*
1番頭の回るジャミルが本気で困り果てている様子に、ユウたちからも諦めと落胆の声が上がる
グリム『ふなぁ..』
エペル『そんな、それじゃあVDCは..』
『ぅぅ...』
?『おやおや..これはどうしたことだ?』
サクサクと瓦礫を避けながら歩いてくる足音が1つ聞こえ、全員がそちらへ顔を向けるとそこに現れた人物に全員目を疑った
『『『!!!!』』』
ヴィル『あんたは..』
?『少し早く着いてみれば、ステージが滅茶苦茶じゃないか』
長い二本の角を生やし、鮮やかな黄緑色の燐光を輝かせ、ディアソムニアの寮生である証の腕章とベストを身に纏ったその人物は、崩壊したステージを怪訝そうに見つめていた
ユウ『あっ、ツノ太郎!』
『ツノ太郎、始まるまでまだ二時間もあるよ?もう来ちゃったの?』
『『『ツノ太郎!!??』』』
青年の渾名にオンボロ寮組を除く全員が目を大きく見開いて驚愕に声を張り上げた
グリム『お~!お前がオンボロ寮の庭を夜中に徘徊してるっていう、ツノ太郎か。ユウたちから話は聞いてたけど、本当に頭にツノが生えてんだな!にゃっはっは..ふがっ!』
ツノ太郎を初めて目の当たりにしたグリムは興味深そうにツノ太郎を見つめ、話の通りにツノが生えていることに笑う
だがその瞬間、血相を変えたデュースが急いでグリムを腕に抱えて口を塞いだ
デュース『こら、グリム!!お、お、お前っ!先輩になんて口の利き方してんだ!』
エース『ユウ!レイラ!あの人をツノ太郎呼ばわりするなんて、命知らずにも程があんでしょ!』
エペル『お、おめぇら、あの人が誰だか知らねぇのか!?』
知り合いの渾名を呼んだだけで、エースたちの態度が余りにも急変し、ユウたちは困惑して互いに顔を見合わせて首を傾げた
ユウ『え、何でみんなそんなに慌ててんの?』
『ツノ太郎って、きっと有名な人なんだよ』
ユウ『ああ、そういうこと?ん~でも、名前教えてくれないしさ』
『ん。それに、好きに呼んで良いよって言ったもん』
二人の発言に、エースたちはもう許容範囲を超えたのか、黙って頭を抱えるしかなかった