第66章 *衝突マックス*
意識を取り戻したヴィルは、まだ覚醒しきっていない頭を回転させながら視線だけを泳がせながら辺りを見渡す
ヴィル『アタシ、どうして..?』
ルーク『ヴィル!良かった。瞳にいつもの輝きが戻ったね』
カリム『ほんとに良かった..ぐすっ、ううっ、ヴィル~!どいつもこいつも心配させやがって...』
『カリムさん、さっきと全然違う』
ユウ『さっきから溜め込んでたみたいだよ。レイラの前だと、カッコつけたかったのかな?』
『んふふ、そっか』
ボロボロといつものように感情を露にして泣くカリムに、ジャミルは本日何度目かの呆れたため息をついた
デュース『良かった..打ち所が悪かったらどうしようかと』
ヴィル『..とんでもない醜態を、晒してしまったようね。癇癪を起こして他人に当たり散らすなんて、最低だわ。この世で1番、美しくない行為..』
ヴィルはオーバーブロット時の記憶は曖昧だったが、ステージやコロシアム全体の崩壊、そしてユウたちのボロボロな姿に、自分が何をやっていたのかを瞬間的に悟り、自嘲の笑みを浮かべる
エペル『そうですね。癇癪を起こしていいのは3歳児までじゃなかったですっけ?』
ユウ『ここでそれ言っちゃう?』
ヴィル『そうね..エペルの言うとおり。こんなアタシは、もう貴方たちのリーダーでいる資格なんてないわ..』
ルーク『自惚れてはいけないよ、毒の君。残念だが..私たちは誰1人、地に伏していない』
ヴィル『え?』
ルーク『君の攻撃を食らった兎の君も、最後には君を助けるために力を振り絞って目を覚ましたんだ』
『今回はあんまり役に立てなかった..けど』
ルーク『何を言っているんだい?君のお陰でムシュー・スペードの攻撃を通すことができたんだ。そしてそれが結果的にヴィルを救った。君は十分すぎるほどに貢献したよ』
『そ、かな...だったら、嬉しい』
ヴィル『ちょっと待って。アタシの攻撃?よく見たら、あんた何で1番そんなにボロボロなわけ!?』
ユウ『ヴィル先輩が放った魔法がジャミル先輩に当たりそうになって、それをレイラが庇って直撃したんですよ』