第66章 *衝突マックス*
レイラの涙に我に返ったジャミルは、どうしたものかと慌て始める
ジャミル『ま、待て。つまりは..そう..えっと、』
『....ありがと』
ジャミル『え?』
『ジャミさん、私のために怒ってくれて..ありがと..ごめんね』
涙を溢れさせながらジャミルの背に手を回し強く抱きつく。そんなレイラに、愛おしさと改めて無事で良かったという安堵を込めて強く抱き締め返した
ジャミル『頼むから、もうあんなことはやめてくれ』
『...でも、大好きな人たちのことは、守りたいの』
ジャミル『それはこっちも同じだ。だがまずは自分の身を第一に考えろ。いいな?』
『ん...』
ジャミル『よし、良い子だ』
最後に強く抱き締めると、名残惜しそうに体を離しジャミルは立ち上がった。すると、入れ替わるように別の人物がレイラに抱きついてきた
『んぐ...カリムさん?』
カリム『....』
いつもなら煩いくらいに声をあげるカリムだったが、何故かそんな彼からは今は何も聞こえず、ただただ抱き締めているだけだった
『カリムさん..心配かけてごめんね』
カリム『っ..ほんとだよ..』
ようやく聞こえたその声は驚くほどに弱々しくか細いものだった
カリム『レイラ。オレは誰が傷ついても嫌だし、悲しい。だけどお前が傷ついた時は、それの比じゃないくらいに嫌だったし悲しかった。心臓が一瞬、止まったような感覚にもなったんだ..』
『ん...』
カリム『こんなにも失いたくないって思ったのは、お前が初めてで..そんなお前が死んじゃうかもって思った時、本当に怖かった』
『..カリムさん、ありがと。ごめんね?もう、しないから..』
カリム『..ああ』
存在を確かめるようにかき抱くカリムに、レイラは少し苦しいと思いつつも、ただ身を委ねてた
『ヴィルさん、起きない..』
ユウ『さすがにここまで目を覚まさないと、心配だね』
ルーク『ヴィル..ああ、美しき人。どうか目覚めておくれ..』
ルークはヴィルの頬にそっと手を滑らせて、懇願するように呟いた
ヴィル『....う....』