第65章 *勃発エマージェンシー*
慣れない魔法の複合に体力と魔力を一気に持っていかれたエースとデュースは、ぜえぜえと荒く息をはきながらその場に座り込んだ
一方、疲れは若干見せつつもまだ余裕の状態で立っているジャミルは、呆れのため息を1つついてレイラの元へと歩み寄る
ジャミル『大丈夫か?無理をさせて悪かった』
『大丈夫...だよ..っ、げほっ!』
ジャミル『それのどこが大丈夫なんだ、まったく。負担のかかる魔法を使わせた俺が言えたことじゃないが。だが助かったよ』
『ん..良かった....っ!!ジャミさん、危ないっ!!』
ジャミル『なっ!!』
嫌な予感を悟ったレイラは、突然ジャミルを手で突き飛ばした。すると、渦巻いていた波の中からエネルギー体が勢いよく放たれ、レイラの体を直撃した
ジャミル『レイラっ!!!』
目の前で自分を突き飛ばしたレイラが小さく笑いながら、エネルギー体に飲み込まれていくのを、ジャミルはまるでその光景がスローモーションのように流れていくのを見ていた
ドォォォン!!!
エネルギー体はその場で爆発し、その爆風でジャミルは後方に吹き飛ばされた
ユウ『レイラっ!!』
爆風が静まったのを確認すると、ユウは我先へとレイラの元へと駆け寄る
遠くで爆発を見たエースたちも急いで集まり、レイラの安否を確認する
ユウ『レイラっ、レイラっ!!しっかりして!』
ユウは砂ぼこり舞う中、全身傷だらけのレイラを見つけると、抱き起こして必死に呼びかける
ジャミル『おいレイラっ!!くそっ、なんで俺を庇ったんだよ!』
ルーク『兎の君っ!!』
エース『目を開けろよレイラっ!!』
デュース『頼む..目を覚ましてくれっ!!』
エペル『レイラチャン!!』
固く閉じられた瞼とほんの僅かな浅い呼吸に、全員脳に最悪の事態がよぎった
ヴィル『あっははは!まずは一匹』
自身を閉じ込めていた波を弾けとばすと、ヴィルは更に禍々しいオーラを纏って近づいてくる
エース『くそっ!ユウ!とりあえずレイラを連れて隠れてろ!』
ユウ『分かった!』
デュース『こっからが正念場だ!!』