第65章 *勃発エマージェンシー*
コロシアム・廊下
先ほどのヴィルが気になった二人は、グリムを連れて控え室はと向かうヴィルを後ろからこっそりと追いかけていた
グリム『おい、二人とも。どうしたんだよ。リハも終わったし、勝手にメシ食ってきて良いって言われたのに..こそこそヴィルの後なんかつけて』
ユウ『レイラが嫌な予感を感じたって言うし、僕もこうしなきゃいけない気がして』
そうしていると、ヴィルはある部屋の前で急に足を止め、部屋の扉を忌々しそうに睨んでいた
グリム『あっ、ヴィルのやつ控え室の前に止まったんだゾ。誰の部屋だ?』
ユウ『少なくとも、僕らのじゃない』
『もしかして...』
コンコンコン...
?『はーい!今出まーす!』
ノックに反応し、元気な声と共に中から顔を出したのは、レイラの予想通りの人物だった
ガチャ
ネージュ『あっ、ヴィーくん。どうしたの?』
ヴィル『..さっきはすぐリハが始まって、あまり話せなかったから。もう少しだけ、あなたと話がしたくて』
ネージュ『!..うん!僕もそう思ってた』
普段よりも幾分か低いヴィルの声に、明らかに彼の雰囲気が変わっていることにネージュはうっすらと勘づくも、愛らしい笑顔を向け続けた
『やっぱり...』
ユウ『ネージュくんの部屋?でもどうして..』
ヴィル『..あら、さっきの小さなお友だちたちは?』
控え室の中をチラリと見て、ドワーフたちの姿がないことに気づき、ネージュに問うと"展示ブースを見に行った"と答えた
その答えにヴィルは好都合だと言わんばかりの妖しい笑みを浮かべた
ヴィル『そう、1人なのね。...リハーサルのパフォーマンス、素晴らしかった。あなたの愛らしさは、いつも周りの人間を一瞬で虜にしてしまう。
昔からそうだった』
ネージュ『ヴィーくんたちのパフォーマンスも、スゴかったよ!あんなカッコいい曲、僕にはきっと歌いこなせない。躍りもビシッと決まってて、見とれちゃった』
ヴィル『そう..ありがと。ふふ、お互い無い物ねだりね。
ねぇ、ネージュ。喉が乾かない?美味しい林檎ジュースを差し入れに来たの。アタシの最近のお気に入りなんだけど..』