第64章 *開幕ボルテージ*
見慣れない小さな姿のドワーフたちに、客席から見ていたエースたちから驚きの声があがる
エース『は?子供?ちゃんとパフォーマンスできんのかよ』
ジャミル『いや、あれは恐らく子供じゃない。妖精..恐らく、ドワーフ族だ』
グリム『あっ。あいつら、さっき校内で迷子になってたやつらなんだゾ!』
ネージュ『会場のみなさん、初めまして!僕はロイヤルソードアカデミーの、ネージュ・リュバンシェですっ。さあ、みんな。ご挨拶は?』
ネージュがドワーフたちに挨拶するよう促すと、7人のドワーフは順に自己紹介をしていく。個性的な7人のまるで小さなコントのようなやり取りに、スタッフや報道陣から笑いがこぼれだしていく
それはからかいや嘲笑いではなく、愛らしいものを見て微笑ましいといったものだった
ネージュ『みなさんに楽しんでもらいたくて、沢山練習してきました。聞いてください。
"みんなでヤッホー!"』
ネージュたちのパフォーマンスは、ヴィルたちのものとは全くと言って良いほど正反対なものだった。テイストも真逆で、ひたすらみんなで楽しく野を駆けようという雰囲気。ダンスは決して難しくなく、拙いながらも愛嬌のあるものだった
カリム『うおお、なんだこの曲!サビが頭ん中をぐるぐる回ってる..』
ルーク『この曲は、輝石の国の童謡のアレンジだね。夕焼けの草原出身の私も聞いたことがある。きっと有名な曲なんだろう』
エース『なーんだ。誰でもできる簡単な振り付けじゃん。しかも全然揃ってねーし』
グリム『あっ、1人転びそうになった!..ネージュが助けたけど、他のやつらもみんな危なっかしいんだゾ』
ジャミル『正直、クオリティは大したことないな』
エース『これじゃオレたちのライバルにもならねーっすね。ヴィル先輩!』
ネージュたちのお世辞にも上手いとは言えないパフォーマンスに、余裕の表情を浮かべるエースがヴィルへと視線を向ける
だが、当の本人のヴィルはパフォーマンスを見て、瞳を驚愕に震わせ、まるでとんでもないものを見たような表情で口を開いた
ヴィル『....』
『毒の人...どうしたの?』
ヴィル『...やられた..っ!』
『え?』