第64章 *開幕ボルテージ*
ユウ『よし、ここなら報道陣の固まりから離れてる。もう大丈夫だよ、ビックリしたね』
『ありがと..ユウ』
ユウ『ヴィル先輩にも後でお礼言わないとね』
ユウは出来るだけヴィルから距離をとり、人気の少ないステージ横でレイラを抱き締めて、小さく震えるレイラをあやしていた
ユウ『それにしても、ヴィル先輩すごい人気だな』
『いっぱい人いるのに..』
多くの報道陣に囲まれながらも、堂々と質問に答えていくヴィルの姿に、二人は感嘆の声をもらす
グリム『報道陣のやつら、良い反応してたんだゾ!』
ユウ『そっか。良かった良かった』
『グリム..』
グリム『まったく、そんな怯えた顔してんじゃねーんだゾ。オレ様がついてるんだから、安心してドンと胸張ってるんだゾ!』
『そ、だね...ん。グリム、今日スゴく頼もしい』
グリム『オレ様が頼もしいのはいつもの事なんだゾ』
ユウ『ふふ。さぁ、ヴィル先輩が報道陣から抜け出してきた。僕らも合流しよう』
ユウ『お疲れ様です』
ヴィル『兎、何ともないかしら?』
『大丈夫。ありがと、守ってくれて』
ヴィル『別に。異例の女子生徒の話題で盛り上がって、アタシたちの話題が霞むのはごめんだからよ』
ルーク『ふふ..素直に守りたかったと言えば良いのに』
ヴィル『ルーク』
ルーク『すまないね』
エース『..おっ!早速今のTV局のアカウントに動画がアップされましたよ!』
エースが見せたスマホの画面には、TV局のアカウントに添付されたリハーサルの様子が動画となって写し出されていた
デュース『ほ、本当だ!うわ、今一瞬僕が映ったけど..何か躍りがギクシャクしてる気がする』
エペル『僕にも見せて!すごい..どんどん"いいね"がついて、拡散されていく』
カリム『おおー!ヴィルのファンから"待ってました"って沢山コメントがついてるぜ!』
ジャミル『というか、この動画、殆どヴィル先輩しか映ってないじゃないか』
ルーク『"カッコいい!""スゴい!"。なにより"美しい!"みんながVDCを楽しみにしている気持ちが伝わってくるね』
それを聞いたヴィルは、少し離れたところでスマホを取り出し何かを呟いた後、口の端をニッとあげて妖しく微笑んだ