第64章 *開幕ボルテージ*
エペル『あれが..ネージュ・リュバンシェ!』
エース『さすがお茶の間の人気者。身振り手振りも喋り方も、あざとっ』
デュース『うーん。しかし、顔立ちは整っているが、シェーンハイト先輩と初めて会った時程、強烈なオーラは感じないと言うか..』
カリム『確かに。あんまりギラギラ派手な感じはしねーな』
ルーク『彼の笑顔には、ヴィルとはまた違った野に咲く小さな花のような素朴な美を感じるね』
ネージュがヴィルに話しかけている中、エースたちは少し離れたところでヒソヒソとネージュの印象を呟いていた
一方レイラは、本物のネージュを目の当たりにし、小さく頬を膨らませて、隣に立っていたジャミルの腕にポスッと寄り添う
ジャミル『ん?....ふ、また嫉妬か?』
『可愛い人。でも負けないもん』
ジャミル『誰もやつのことを可愛いなんて言ってないだろ。この中で最も可愛いのは君だ』
自信を持て、とふて腐れたようにしているレイラの肩に手を回し、勝手に対抗心を燃やす姿に愛おしさを感じていた
ジャミル『まあ、ああいう人畜無害そうな顔をしているやつほど、裏ではとんでもない性悪だったりするんだ。芸能人なんてそんなものだろ』
『ジャミさんがそれ言うの?』
ジャミル『おっと?それはどういう意味だ?変なことを言う口はこの場で塞いでやろうか』
『んふふ、ごめん』
ネージュ『前の映画の撮影以来、お仕事現場であんまりヴィーくんに会えなくなって寂しかったよ』
ヴィル『今は学業に専念するために、撮影期間が長い映像作品のオファーはあまり受けていないの』
ネージュ『そうだったんだね。でも、今日はまたヴィーくんの歌が聞けそうで嬉しいよ。僕、ヴィーくんの歌声、格好よくて大好きだから。
僕たちが初共演したのも、学園もののミュージカルドラマだったよね』
ヴィル『そうね。あんたが主役で、アタシはあんたをいじめる生徒の役だった。
....ハマリ役だったわ。あんたも、アタシも』
ほんの一瞬、彼の瞳に悲しみの色が渦巻いたのを、レイラは見逃さなかった
『毒の人...悲しそう』
ユウ『え?』