第8章 *先輩サウザント*
ユウ達が出ていった後、トレイは残った二人を面白いものを見るような目で見つめる
トレイ『ホント過保護だよな...お前たち』
エース『なんすかいきなり』
トレイ『お前たちさっきからずっとレイラの方見たり声かけたり、ちょっと離れる時でもああだっただろ?それが何か面白くてな』
エース『別に...レイラは女の子な訳だし、気遣うのも当然、だし』
トレイ『それだけか?』
エース『....ちょっと出てくるっす。レイラ、一緒に来て』
『ぇ...ぅん...』
戸惑いながら頷くその手を取ると、逃げるようにエースは厨房の扉を開け廊下へと出ていった
トレイ『相当惚れてるな...アイツら』
『ん...んぅ...///』
エース『っ...ん...』
廊下へ出て周りに人気がないことを確認したエースは、昨夜のようにレイラを壁に追い込むと、腰と頬に手を添えながら唇を奪った
ゆっくりと、けれど有無を言わさないキスにレイラは混乱した頭でただ彼の服を掴むことしか出来なかった
エース『っはぁ...なぁ、さっき何があったんだよ』
『ん...何って』
エース『植物園でのこと。ユウの様子おかしかっただろ』
『それは、グリムがさっき説明した通りで...』
エース『アイツの説明、大事なとこ隠してるだろ。変なんだよ。あれだけでユウがあんなに泣き崩れそうな顔にはならねぇ』
真っ直ぐな眼差しが貫くように注がれ、レイラは躊躇しながらもゆっくりと口を開いた
エース『そうか...だから』
『私のせい...ユウに迷惑かけてばかり』
エース『ちげぇよ...誰も悪くなんてない』
エースは目の前の小さな体を抱き締めると、優しく耳元で囁くように語りかける
『エース...私分からない。どうすればいい?どうすれば周りの人達は幸せになってくれるの?』
エース『そのままでいろよ』
『でもそれだとまた...』
エース『じゃあ、ユウがあの時お前にこうなってくれ...なんて一回でも望んだのかよ』
エースの言葉に一度考え、そして顔を横に振る