第63章 *到頭オープニング*
トレイ『にしても、この同好会は山岳部みたいな活動をしてる部活なのか』
ジェイド『いえ。弊同好会の活動は、山登りを主体としたものではありません。高い山に登って登録証明書を集める訳ではありませんし..
学園の周りの山を散歩しながら風景を眺めつつ、山菜やキノコ、花や野生動物など..主に山に息づくものを鑑賞したり食したりすることを目的としています』
トレイ『成る程。どちらかと言えば、写真部や料理部に近いんだな』
ジェイド『どうでしょう。僕はありのままの山を、五感で楽しんでいるだけなので。興味の延長で観察することはあっても、サイエンス部のような本格的な実験などはいたしませんし』
グリム『つまり、山に行って拾い食いしてるだけってことか?』
ジェイド『ふふっ。さすがに洗って火を通したりはしますが。概ねそうとも言えます』
『写真もいっぱい。これジェイさんが撮ったの?』
レイラの見る先には、植物や石だけの写真が数点飾ってあった
ジェイド『はい。どれも陸の人間には面白味がない。ありふれた風景かもしれませんが..海で生まれ育った僕には、珍しいものなので』
フロイド『それにしたって撮るもんのチョイスが地味すぎ。珍しくもない雑草とか、石ばっかじゃん。何が楽しいのか、全然分かんねぇ。大昔の人魚だって、もうちょい珍しいもの拾い集めてたよ』
ジェイド『ふふふ。だから所属が僕1人だけなのかもしれませんね。そうだレイラさん。貴女さえよろしければ我が同好会に入りませんか?』
フロイド『はぁ?ゴマちゃんは絶対ダメに決まってんでしょ?』
『...考えとくね』
ジェイド『はい、ありがとうございます。体験だけでも歓迎しますよ』
フロイド『え~。何で考えとくの?』
『山を登るのって楽しそうだし、美味しいもの食べられそう。それに、兎は山を走ってるものだから』
フロイド『絶対入んないでよ』
ジェイド『フロイド。それは彼女次第です』
期待に笑みを浮かべるジェイドに対し、フロイドは不服そうに頬を膨らませてレイラを抱く力を少し強めた