第63章 *到頭オープニング*
?『あぁあ、研究発表まであと2時間..心を落ち着かせるためにありとあらゆる方法を試したけど全っ然落ち着かない。そもそも何故生身で登壇せねばならんのだ?ハードル高すぎん?
アバター使ったビデオチャットで良くない?音声ソフトの準備は完璧だけど、人前でノールックタイピングとか正確にやれるの、僕?』
グリム『なんか、部屋の隅っこでブツブツ言ってるやつがいるんだゾ』
リドル『..イデア先輩、そんなところで何をしているんです?』
背中を丸めて座り込むイデアと呼ばれた青年は、突然後ろから聞こえたリドルの声にビクッと大きく体を震わせて勢いよく振り返った
イデア『どぅわっ!!リドル教官!!何故ここに!?』
リドル『は?教官?』
イデア『あっ、なな、なんでもない。こっちの話』
リドル『ステージでの研究発表、準備は出来ていますか?』
イデア『ご、ご心配いただかなくても問題ないですし。まあ見といてくだされ。ひひっ』
リドル『..?はい。イデア先輩が専攻されている魔法工学は、現代魔法の中でも興味深い論文が多い。先輩の発表、楽しみにしています』
イデア『と、と、とにかく。僕は最終調整で忙しいから、ボドゲで遊びたいならオルトに..ひぃっ!!』
突然イデアはまた怯えた様子でトレイに視線を向けた。正確には彼の腕に抱かれて眠っていたレイラが目を覚まし、その深紅の瞳と合ったからだ
トレイ『ん?ああ、起きたのかレイラ。降りるか?』
『....降りる。ありがと、トレイさん』
トレイ『いいよ。寧ろ役得だった』
トレイは少し名残惜しそうに浮遊魔法を解除し、そっと床に足をつけさせて降ろした。だがまだ触れていたいのか、すぐに小さな手を握る
ユウ『おはよレイラ』
『おはよ、ユウ....この人、』
イデア『ひょっ!?も、も、もしかしてリドル氏やレオナ氏、アズール氏、カリム氏ご執心の噂の乙女ゲー主人公新入生!?ステータス最強なの?全振りしてんの?あからさまに男受けする美少女そのまま召喚しましたぞ、みたいな?男子制服の上からでもスタイル良いの一目瞭然だし、触らなくても分かるサラサラツヤツヤの髪にキラキラした赤い目。あー純粋すぎて僕みたいな陰キャが映って良いはずないのに入り込んですいません』