第63章 *到頭オープニング*
余りの可愛さに頭を抱えつつも、トレイは再び横抱きにして立ち上がると、"このまま運ぶから、行こうか"と植物園を後にした
教室-ガーゴイル研究会展示ブース
校内に入ったリドルたちは、ガーゴイル研究会と書かれた教室へと訪れていた
そこには異形の生き物の形をした置物のようなものがズラリと並べられていて、グリムは不思議そうに見上げた
グリム『なんだぁここ?がーごいる..研究会?怖い顔したモンスターの置物が、いくつも置いてあるんだゾ』
リドル『ガーゴイル..雨樋の役目を果たす彫刻の一種だね。この研究会はディアソムニアの寮長であるマレウス先輩が主催のはずだけど..』
トレイ『どうやら本人の姿がないみたいだな』
リドル『マレウス先輩は非常に優れた魔法士だけれど、本当に時間にルーズなところがあるからな。この同好会は先輩一人しか所属していない筈だし、開場前に戻ってくるといいけれど。ブースを無人にしておくのは、トラブルの元だからね』
トレイ『まあ..この学園の中じゃ、マレウスの展示にイタズラしようなんて恐れ知らずはいないと思うが』
リドル『それもそうか。じゃあ、次のブースへ行くとしよう。トレイ、レイラを抱えたままで平気かい?』
トレイ『ああ大丈夫だ。レイラは元から軽すぎるし、簡単な浮遊魔法も使ってるから、実質俺は支えてるだけだ』
リドル『そうか。あれだったら僕が代わってあげるよ?』
トレイ『いや、俺が運ぶよ』
リドル『....』
トレイ『....』
ユウ『先輩たち、レイラを抱っこしたくて仕方ないんだな』
講堂-ボードゲーム展示ブース
教室からうって代わって大きな講堂へと訪れたリドルたち。すると、その講堂の隅っこで青い炎が不安そうに揺らめいていた
それはパーカーに身を包んだ長身の青年の髪だった。まるで彼の感情に呼応するように、炎は小さくなったり大きくなったりと不規則に形を変えていく
イエローアンバーの瞳が忙しなく揺れて、明らかに不安一色という雰囲気を纏っていた