第63章 *到頭オープニング*
トレイ『はは..確かにあいつは、サイエンス部より文芸部に向いてる気がするよ。それにルークは我が校代表としてVDCに出場する身だ。部活仲間として応援してやってくれ』
『『はい!』』
リドル『サイエンス部からカフェの申請があった時には、何故?と思ったけれど..植物園を使えば、かなり広いカフェスペースが設けられるのか。考えたものだね』
トレイ『ああ。人が集まる行事では、いくつ休憩場所があってもいい。植物園は温かいし、野外の特設ステージで冷えた体を温めるにも最適だろ?広くて収容人数も多いから..っと、レイラ?』
不意に軽い重みがかかり横を見てみると、手を繋いでいたレイラが自身に寄りかかり眠たそうに目を擦っていた
『ん..』
トレイ『もしかして眠いのか?』
ユウ『温かいと寝ちゃうんですよ、この子』
トレイ『外はかなり寒かったから余計に眠気が来たんだな。どこか眠れる場所でも探そうか』
既に半分寝ているレイラを横抱きにしたトレイを先頭に、全員近くの椅子に腰掛ける。トレイは横抱きのまま膝に乗せて優しく一定のリズムでレイラの背を叩く
グリム『そういや、オメーの話を聞いてるとサイエンスは全然関係なくねぇか?』
トレイ『いや、そんなことはないぞ。サイエンス部が研究対象として育てた、希少な観葉植物を見ながら休憩をしてもらえる。それに料理は科学とも言うし、調理は実験の一環とも言えるしな。
これは立派な研究発表だ。あと、給仕の時には白衣を着る。十分サイエンス部っぽいだろ?』
ユウ『どのメニューも美味しそうですけど、つまりは何の変哲もないカフェ』
テーブルの上のメニューを見ながら、ユウは乾いた笑いしか出なかった。そんな中、リドルはあることに気づき、突然ガタッと立ち上がった
リドル『あっ、しまった。もう10時半を回ってしまう。次は校内を確認しに行こう。11時には一般客が入ってきてしまうから、それまでには一通り見回っておきたいからね』
トレイ『じゃあレイラを起こさないとな。レイラ、起きれるか?』
『ん..トレイ、さん..』
起きたくないと駄々をこねるようにトレイの胸に頬を擦り寄せる仕草に、トレイの顔から表情が消えた
リドル『トレイ、平気かい?』
トレイ『無理だ』