第63章 *到頭オープニング*
〔ユウ〕
"守って"
その一言にどれだけの意味が込められてるのだろう
小さい障害から世界を巻き込むほどの大きな障害。この子に課せられたものは、きっと僕には分からないだろう
黒兎という特別な存在だと分かってから、レイラの身には抱えきれないほどの重圧と制約、いつ襲われるかもしれない恐怖が人知れず、日に日に重さを増してあの子を苦しめる
そして黒兎であるために受けた過去の傷。そのせいであの子は大事なときに誰かを頼ることができない。何かあれば自分が悪いのだと..迷惑をかけたのだと思い込んで自分を閉じ込める
今回の学園祭だって、本当はこんな男装したり、耳に負担がかかる帽子をかぶったり、周りに怯えながら過ごすことなく、やってみたかったVDCに挑戦させてあげて楽しい青春を送ってほしかった
でも世界が、歴史が、人間の悪意がそれを許さない
あの子はもっと自由であるべきだ。好きなことをして、好きな場所に行って、色んなことを学んで、毎日笑顔で生きていいはずなんだ
常に何かに怯えて、苦しい想いをする必要なんてどこにもない
そんなのはもう見たくない
ユウ『勿論だよ。レイラのことは、僕たちが守る。約束するよ』
リドル『僕らだって君を守ると誓うよ』
レオナ『頼まれるまでもねぇな』
寮長2人の言葉に、他の4人も大きく頷く。僕らの想いは一緒だ
レイラ、君の周りには怖い人ばかりじゃないよ。ここにいる僕らだけじゃない。エースやデュース、ケイト先輩、スカラビアの2人だって、オクタヴィネルの3人だって、君の事が大好きで守ってあげたいって思ってる
『っ...あり、がと...』
トレイ『おいおい、泣くなよ?』
『泣か、ないもん..』
ラギー『の割には目元赤くないすか?』
『むぅ...』
頬を膨らませるレイラにみんなの口元に笑みがこぼれる。それを見てレイラが釣られて小さく笑った
その笑顔がどれだけ周りを幸せにするか、きっと君は知らないんだろうね
『ありがと...』
僕らこそ、ありがとう...
君を守るという最も価値のある役目を与えてくれて