第63章 *到頭オープニング*
オンボロ寮・談話室
ヴィル『みんな集まってるわね。本日午後3時。コロシアムに設置されたパープルステージで、ついにボーカル&ダンスチャンピオンシップが幕を開けるわ。大会はネットを通じて世界中に生中継される。
アタシたちが磨きあげてきた美しさを、世界に見せつける時よ!』
覚悟はできてるわね?と問いかけると全員が笑顔で頷いた
ヴィル『..ところで。何で兎は今日男子制服を着てるのかしら?』
ヴィルは先程から気になっていた事にチラリと視線を向ける。今日のレイラはいつものスカートではなく、ヴィル達と同じズボンスタイルだった
『..似合わない?』
ヴィル『いいえ。だけどいきなりどうしたの?寒いから、という理由じゃなさそうだけど』
カリム『そういや確かに朝から何かいつもと違うなとは思ってたけど、まさかそれも例のアレのためか?』
ユウ『はい。昨日二人で話して決めたんです。女の子として目立っちゃう時点で危ないので、僕の予備を着てもらうことにしたんです』
『足あったかい...』
エース『そんであとは帽子って訳ね。いいじゃん』
デュース『これなら一般客の前でも安心だな』
ジャミル『だがハメを外しすぎるなよ。分かるやつには些細なことで気づかれるからな』
『ん』
ヴィル『??何のことかさっぱりだけど、兎が女子生徒だとバレるのが駄目ってことなのかしら?まぁ、それもそうかもしれないわね。異例の女子生徒なんて、一般客やマスコミには格好の獲物だから』
ルーク『変な騒ぎにならないよう配慮したんだね。でもいいのかい?兎の君。僅かとはいえ、君にとって重みになるだろう?』
『ううん、これでいいの。みんなに迷惑かけたくないし、自分の身を守るためだから』
ルーク『そうかい..』
ヴィル『それじゃあ話を戻すわよ。リハーサルは12時からスタート。チームメンバーはリハ前に最終調整をするわ』
グリム『う~~っ。オレ様たちは見てることしかできなくてソワソワしちまうんだゾ』
ヴィル『確かに。グリムとマネージャーたちがいても何の役にも立たない。側でソワソワされると気が散るわ。文化祭の様子でも見てきたら?関係者パスを渡しておくから、会場に入るときはつけてちょうだい』