第63章 *到頭オープニング*
その日、ユウの夢には薄暗い地下のような空間が広がっていた
ユウ『カビ臭い部屋だ...』
女王が変身した老婆はグツグツ煮えたぎる鍋に浸した林檎を持ち上げる。それは毒を纏ったそれはすぐに元の真っ赤な林檎へと変わり、見た目ではそれが毒林檎だと気づかない
老婆は白雪姫に食べさせる前に、生き返る方法を調べておかなくてはと魔導書を捲る。そこには"恋人のキス"と書かれてあった
だが老婆は"バカめ"と吐き捨てる。白雪姫は死んだと思われて生き埋めにされるから問題はない、と意気揚々と小舟に乗って白雪姫のいる小屋へと向かっていった
総合文化祭当日ーーー
ユウ『何だか嫌な予感のする夢だったな。女王は姫の命を狙っていた...』
『ん、んぅ...』
ユウ『相変わらず可愛い寝顔』
グリム『オメーほんと飽きねぇな』
ユウ『おはよグリム。ふふ、レイラの寝顔だよ?飽きる訳ないじゃん』
グリム『そろそろ末期なんだゾ』
隣で気持ち良さそうに眠っているレイラに垂れかかる横髪をそっと指でよけながら寝顔を見つめていると、突然部屋の扉をノックする音が聞こえた
コンコン
ユウ『はーい』
エペル『おはようユウクン、レイラチャン、グリムクン。起きてる、かな?って...ぁ..//』
扉を開けて入ってきたエペルは、1つのベッドの中で酷く密着した二人を見て頬を赤らめた
エペル『や、やっぱり二人ってそういう..//』
ユウ『そう思っていいよ..と言いたいところだけど、ちょっと違うんだ。まぁ、色々事情があってね。エペルくんの思ってるのじゃないよ』
エペル『そ、そうなんだ』
グリム『それよりもエペル!ついにボーカル&ダンスチャンピオンシップ当日だな!オレ様のツナ缶富豪の夢のためにも、ぜって~優勝するんだゾ!』
エペル『うん、そうだね!絶対優勝してみせるよ。でも..今日で合宿が最後だと思うとちょっとだけ寂しい..かな。
ずっと合宿場所を提供してくれて、ありがと。へへっ』
無邪気に笑うエペルにユウも笑みを返していると、モゾモゾとベッドの中で身じろぎする姿が1つ
『ん...』
エペル『レイラチャン、寝顔可愛い』
ユウ『でしょ?ずっと見てられるけど、そろそろ起こすね』