第62章 *直前プラクティス*
招待されたことが相当嬉しいのか、ツノ太郎の笑みはいつもより無邪気な子供のようなものになっていた
『ツノ太郎喜んでくれて良かった』
ツノ太郎『ふふ...お前たちも舞台に上がるのか?』
『ううん。私もユウもマネージャーなの』
ツノ太郎『そうか..それは残念だ。だが、シェーンハイトとアジームが出演するのか。ふふ、それは中々の華やかさだろうな。文化祭当日、楽しみにしている』
ツノ太郎は最後にレイラの額に軽く口づけて体を離した。少し物足りなさそうに見つめるレイラを再び抱き締めたくなる衝動を抑えながら数歩下がる
『むぅ...』
ツノ太郎『そんな顔をするな。上手くすれば当日会えるだろう?その時は、また甘えにくるといい』
『ん。また、ね。おやすみツノ太郎』
ユウ『おやすみ』
ツノ太郎『...おやすみ、ユウ、レイラ』
愛しいものを見る目で二人を見つめながら、ツノ太郎は黄緑の光の粒を残して消えた
『喜んでくれた』
ユウ『そうだね。あ、また名前聞き忘れた』
まあいいか、とツノ太郎の消えていった方を見つめたままのレイラを抱き締めると、"帰ろう"と言ってオンボロ寮へと歩きだした
『ユウ。外凄く寒かった』
ユウ『確かに凄く寒かった。レイラのこと、いっぱいギュッてしながら寝てもいい?』
『ん。私もユウにギュッてされて寝たい』
ユウ『そうと決まったら早く帰ろう』
『ん』
二人は足早に部屋に戻ると、外で冷えきった体を温めるために直ぐ様ベッドに潜り込むと、互いに強く抱き締め合う
『ぅ...まだ冷たい』
ユウ『もう少し我慢ね。その内温かくなるから』
『ん』
そうして寒さに耐えていると、いつの間にか互いの体温で温まり始めたベッドの中で、二人はウトウトと眠気が襲ってくるのを感じ、意識が途切れる前にいつもの寝る前のキスを交わす
ユウ『おやすみ、レイラ。良い夢を』
『おやすみ、ユウ』