第62章 *直前プラクティス*
レイラの考えが分かったユウは、微笑みながら自分がもらったチケットを手に取ると、上着を羽織って外へと向かった
オンボロ寮前
オンボロ寮を出るとその人物はまだそこにいて、1人月を見上げなから立っていた。こちらに気づいていない様子で、立つその人物に二人は駆け寄る
ユウ『こんばんは』
『ツノ太郎』
声をかけられたツノ太郎は振り向き、二人の姿を見つけると口元に笑みを浮かべる。そんなツノ太郎の懐に小さな温もりが飛び込んだ
ユウ『こらこらレイラ。雪道を走っちゃダメだし、いきなり抱きつくのもビックリさせちゃうからダメだって言ったでしょ』
ごめんねツノ太郎、と謝りながら後から来たユウに、ツノ太郎は気にしていない様子でレイラの髪を優しく撫でた
ツノ太郎『っと。ふ、構わない。にしても久しぶりだな、ヒトの子たち。変わりはないか?』
ユウ『うん、元気だよ』
ツノ太郎『お前はどうだ?』
『元気。ツノ太郎のかけてくれた魔法のおかげで楽になったし、楽しいホリデー過ごしたよ』
ツノ太郎『それはそれは..楽しそうでなによりだ』
『ねぇ、ツノ太郎』
ツノ太郎『ん?』
『もしかしてホリデーカードくれたのって..』
ユウ『あ、確かイニシャルは...M・D』
ツノ太郎『!..そういえばリリアにカードを預けたんだった..返事は来なかったが』
ムッ..と眉を潜め、ふて腐れるような表情を浮かべるツノ太郎に、二人は返事を出さなかったことに"あっ.."と呟いた
ツノ太郎『ああ。お前たちは僕のことをよく知らない世間知らずなんだったな。ふふふ』
『ぁぅ...あ、ユウ。チケット出して』
ユウ『そうだった。はい、ツノ太郎。良かったらお友達とVDC見に来ない?』
『ホリデーカードのお礼になる、かな?』
ツノ太郎『..これは..今度の文化祭で行われるステージのチケット?まさか、この僕を招待しようというのか?』
ユウに差し出された観戦チケットを受けとると、ツノ太郎は目を丸くして驚きを隠せないでいた
『ん。ツノ太郎に来てほしいな』
ツノ太郎『...ふ、ふふふっ..はははっ!お前たちは本当に恐れを知らないとみえる。良いだろう。この招待、謹んで受け取ろう』