第62章 *直前プラクティス*
ユウが後ろから抱き締めながらコールの反応を待つこと3コール目。ガチャっと音がして安心する女性の声が聞こえてきた
エミリア『もしもし、レイラなの?』
『ママ..』
エミリア『ああ、何だか久しぶりね。どうしたの?何かあった?』
ディオン『えっ!?マイエンジェルからなの!?ちょっ、僕にも聞かせ..ぐへっ!』
エミリア『喧しいのよディオン。ちょっと黙ってなさい。私の天使の声が聞こえないじゃないの』
電話越しに聞こえるディオンの声に安心すると、レイラは話を続けた
『ママ、あのね。今度学校で文化祭やるの』
エミリア『ええ、知ってるわ。かなり大々的な催しなのよね。ママも毎年中継を見てるわ』
『それでね、その中でVDCっていう大会があるの。私は出ないんだけど、お友達が出ることになって。それで私はそこのマネージャーをしてるの』
エミリア『あら素晴らしいじゃない!マネージャーも立派な役職よ』
『ん。みんなのサポート頑張ってる。それで、その大会の観戦チケットを貰ったんだけど....えっと..』
肝心なところで言葉が詰まり、焦りが感情を支配していく
ユウ『大丈夫。言ってみて』
後ろからユウの囁きを受け、レイラは一度深呼吸すると改めて口を開いた
『ママたちにあげたいの。学園祭に、来て、ほしい...ママたちに、私が学校で頑張ってるの見て安心してほしいし。お友達の頑張ってるところも見てほしい』
バタンッ!!
『!?ママ?』
電話越しに何かが倒れる音がして慌ててエミリアを呼ぶと、別の人物の声が優しく聞こえてきた
ディオン『レイラっ!!久しぶりだね元気にしてたかい?ちゃんと暖かくしてる?ご飯も食べてる?変な男に捕まってない?』
『パ、パパ...ね、ママは?』
ディオン『ママなら大丈夫だよ』
エミリア『我が人生に一片の悔いな、し..』
ディオン『ほらなんか可愛いこと言ってるし。レイラの頑張ってるところに初めて行けるから嬉しくなってぶっ倒れちゃったんだよ』
『そっか..私、今までそういうことなかったから..』
ディオン『レイラが気に病むことじゃないよ。そうなったのは僕らのせいなんだから』