第62章 *直前プラクティス*
ヴィル『ふっ..当然よ。アタシを誰だと思ってるの?』
学園長『さすがは世界的人気タレント..いえ、さすがは我が校一の歴史を持つ美しき寮。ポムフィオーレの寮長です。VDCは音楽発表会。他校がどんな曲をチョイスしてくるかは、当日まで伏せられますが..この仕上がりは、確実に優勝を狙えるクオリティです。
シェーンハイトくん、NRCトライブのみなさん。必ずやロイヤルソードアカデミーに打ち勝ち、世界中にその美しさを示してください!』
『『『はい!!!』』』
クロウリーの激励に全員が声を揃えて応えるも、余りの気合いの入りようにカリムは隣に立っていたジャミルへこそっと話しかけた
カリム『なんか、今日の学園長やたら熱入ってねぇ?』
ジャミル『あの人のことだ。俺たちが優勝すれば、学園の宣伝になると思ってるんだろ』
学園長『そうだ。みなさんにこれをお渡ししておきます』
そう言ってクロウリーは、懐からあるものを取り出した。それは真っ黒なベースに大きく金色の字でVDCと書かれた大会の観戦チケットだった
『VDCの関係者席チケット..だって』
ユウ『自分ももらっていいんですか?』
学園長『VDCの観客席は、毎年大人気のプレミアチケット。開催校の特権で、関係者席を僅かばかりご用意しています。お友だちやご家族にどうぞ』
手渡されたチケットを見て、レイラの瞳にキラキラと光が灯っていく
『クロさん、ありがと。ママやパパを呼んでもいいの?』
学園長『ええ、ええ勿論です。貴女の親御さんには是非、足を運んでいただいて元気に学園で過ごしてる貴女の姿を見せてあげてください。とても心配していらっしゃるようですからね。私からもご挨拶したいですし』
そう言いながらレイラの頭を優しく撫でてやると、嬉しそうに耳を揺らして小さく微笑んだ
『ん!』
学園長『(可愛いものですねぇ...)さて、練習の邪魔にならないよう私はこの辺で。みなさん、頑張ってくださいね』
ニッコリ微笑むと、クロウリーはマントを翻してボールルームを後にした
ヴィル『さ、それじゃあ練習を再開するわよ』
ヴィルの一声で再びポジションにつくエースたちを見て、グリムは安堵した表情で見つめていた
グリム『最初の頃のちぐはぐが嘘みてぇなんだゾ』