第61章 *苦悩シャウト*
次の日
『ん...』
ジャミル『起きたか?』
『...まだ寝る』
ジャミル『こら、もう朝食を作る時間だぞ。ユウも起きてくる頃だし、厨房へ行こう』
自身の胸にすがりついて寝ようとする仕草に朝から鼓動を高鳴らせるが、時間も時間ということで少し強引に起こすことにした
『まだ、眠いよ...』
ジャミル『気持ちは分かる。ほら、部屋に戻って着替えてくるといい。ついでにユウのご機嫌を取ってこい』
『はーい...』
眠たい目を擦りながらフラフラと部屋を出ていった背中を見送ると、ジャミルは主人であるカリムを起こしにかかった
ジャミル『カリム、起きろ』
カリム『...んあ?』
ジャミル『まったく。お前もあいつも呑気なもんだな』
カリム『ふあ~...おはよジャミル。昨日は楽しかったみたいだな』
ジャミル『....は?』
カリムの着替えを手に取っていたジャミルは、僅かに声のトーンを落としたカリムに驚き、後ろを振り返った
そこには寝起きを感じさせないハッキリとした意識で自分を見つめるカリムが座っていた。レイラに似た深紅の瞳は真っ直ぐジャミルを見据え、その輝きの中に僅かな炎が揺らめいていた
ジャミル『お前...』
カリム『声は消せても見ちまえば分かる』
ジャミル『!!』
カリム『まっ、だからってお前を責めるとかはないぞ?昨日のレイラを勝ち取ったのはお前だからな』
ジャミル『譲る気はない』
カリム『オレも。自分の気持ちに、やっと気づいたからさ。お前には負けない』
ジャミル『上等だ。ならさっさと着替えろ。ちんたらしてると他の男に取られる』
カリム『それはダメだな!よし、すぐに着替えよう!』
『おはよ、ユウ。ね、ギュッてしてキスして?』
ユウ『おはよ、レイラ。勿論だよ。さあおいで』
『んぅっ..//』
ユウ『今日は僕だけのレイラでいてくれるよね?』
『ん、ユウと一緒にいる。だから、離れないでね』
ユウ『こっちのセリフだよ。離さないから』
カリム『あっはっは!既に取られてたな』
ジャミル『こればかりは仕方ない。昨日みたいになられても困る』