第61章 *苦悩シャウト*
ヴィル『ええ、おやすみ』
『おや、すみ..』
帽子を拾い上げしっかりかぶり直すと、静かに部屋を出ていった
パタンと扉が閉まり足音が遠ざかった瞬間、レイラは体から力が抜けてその場に崩れ落ちそうになった
ヴィル『っと..』
だがすぐに気づいたヴィルによって支えられ、ゆっくりと床に座らされた
ヴィル『大丈夫?』
『ごめん、なさい。力抜けちゃった..』
ヴィル『身内が失礼なことしたわね。私からも謝るわ、ごめんなさい』
『びっくりしたけど..平気』
ヴィル『何言ってるの。無理やりキスされて、平気なわけないでしょ』
『....』
ヴィル『明日にでもキツく言っておくわ。だからと言って許してとは言わない』
『大丈夫、だよ...ぁぅ..//』
ヴィル『なに?...あぁ..』
突然頬を染め目を泳がせるレイラに不思議に思ったヴィルだったが、すぐに自分の格好のせいだと気づいた
風呂あがりということでバスローブを着ているが、胸元のボタンを留めずに大きく開かれていたため、素肌が晒されて彼の美しい半身が眼前に広がっているのだ
更に髪から滴り落ちる滴が首筋から胸元へと流れ、艶かしい色気を振り撒いていた
ヴィル『どうしたの?そんなに顔を赤くして』
意地悪げに笑みを浮かべながら顔を近づけると、レイラは視線を外して"何でもない"と小さな声で答える
ヴィル『何でもない、ねぇ?なら、ちゃんとこっちを見なさいよ』
『ダメ...//』
ヴィル『ふふ..アタシをちゃんと"男"として見てくれるのね』
その事実に酷く鼓動が高鳴り、高揚感がヴィルの体の奥底から沸き上がる
『ど、毒の人が..男の人なの、ちゃんと知ってるよ?』
ヴィル『そう。だったら尚更、あんたには気をつけてもらわないとね』
『え..』
ヴィル『いつまでもそうやって無防備に男に体預けて、何もされないとでも思ってるの?』
『ぁ..ま、待って..ゃっ..』
逃げる暇もなく手首を取られ、後頭部にも手を添えられるとその場に優しく押し倒される
ヴィル『無防備な自分を呪うことね』
そしてヴィルの顔が段々と近づいていく