第60章 *反発アイデンティティー*
ナイトレイヴンカレッジ・メインストリート
『到着』
エペル『い、意外と力強いんだね..あと、ちょっと強引』
『ごめん。でも、今の林檎くんの気持ちを一番分かってくれるのは、多分デュースだと思うから』
エペル『レイラチャン..』
ブイーーーン..
エペル『ん?なんだろ。学園内でエンジン音?』
遠くの方から聞こえてくるエンジン音は、段々とメインストリートの方へと走ってくる
『...来た』
キキキーッ!!
レイラたちの目の前で止まったそれは、鮮やかな青に塗られたマジカルホイール。そしてそこに跨がっていたのは、慣れた手つきで停車するデュースの姿だった
デュース『ここにいたのか、エペル』
エペル『え..デュース、クン!?どうしたの、そのマジカルホイール!?』
デュース『文化祭の発表でイグニハイド寮が使う予定の機体を、無理言って借りてきた』
『デュース..』
デュース『レイラ...ユウから話は聞いた。お前には後でしっかりと謝らせてくれ。だけど悪い、今は..』
『ん、分かってる。デュース、林檎くん.....待ってるから』
デュース『ありがとう。エペル、ちょっとツラ貸せ』
エペル『え!?』
いきなりのことに戸惑いを隠せずにいると、そんなエペルの背を両手で軽く押しながら、レイラはデュースの元へと歩かせる
『行ってらっしゃい林檎くん』
エペル『わ、分かったよ。じゃあ、デュースクン。お、お邪魔します』
終始訳が分からないといった様子ながらも、デュースの後ろへと乗り込む
デュース『しっかり掴まってろよ』
エペル『う、うん..』
自身の腰に腕を回させ準備ができたところで、デュースはマジカルホイールのアクセルを入れると、颯爽とメインストリートを駆けていった