第60章 *反発アイデンティティー*
エペル『デュースクン...そんなことがあったんだ。レイラチャンは、二人のケンカの状況が怖かったんだね』
『私が臆病だからこんなことで逃げ出して..ユウたちに迷惑ばかりかけてる』
悔しそうに腰かけたベッドのシーツを握るレイラを見て、エペルは眉を下げてその手にそっと触れた
『!!』
エペル『傷、酷くなっちゃうからダメだよ』
『..ごめん』
エペル『...迷惑なら、僕の方がかけてるよ。もう何もかもめちゃくちゃだ』
『林檎くん..』
エペル『それもこれも全部、闇の鏡が俺をポムフィオーレなんかに組分けするから..!』
『林檎くんは、ポムフィオーレ寮じゃない方が良かったの?』
エペル『..うん。本当は俺、サバナクローに入りたかったんだ』
『レオさんのところ...何か、イメージと違う、ね』
エペル『..やっぱり君もそう言うんだね』
予想通りの反応にエペルは悲しげに顔を俯かせた
『でも、サバナクローの寮服を着た林檎くん..似合うと思う』
エペル『え..?』
『それに、林檎くんのちょっと荒っぽい喋り方、凄くカッコいい』
エペル『カ、カッコいい!?お、俺が!?そげなこと!え!?』
『あ、また荒っぽくなった♪』
エペル『っ..//』
クスクスと面白そうに笑うその笑顔に、エペルの頬にぶわっと熱が一気に火照る
『林檎くん真っ赤だよ?大丈夫?』
風邪?と顔を近づけると、エペルは更に顔を真っ赤にして慌てて距離をとった
エペル『だだだ大丈夫//!!』
『?』
エペル『(な、何で俺、こげにドキドキしてんだ!?)』
『その喋り方、元々なの?』
エペル『う、うん。故郷にいた頃はずっとあの喋り方で。今は都会に少し合わせた口調にしてる。頻繁に戻っちゃうけどね..』
『でもさっきの方が自由な感じがする』
エペル『うん、俺も元の方が喋りやすい。でもヴィルサンはその喋り方やめろって言うんだ。可愛く、美しくないから。でも..そげなこと言われでも、俺はめごくなりたぐねぇ....あっ..』