第60章 *反発アイデンティティー*
カリム『オレもよく考えなしとか、能天気過ぎるとかジャミルに言われるけどさ。落ち込んでも、食って寝て踊れば"何とかなるさ"って忘れちまえる。
それはオレの良いところだって、自分で思う。だからさ、ダメに感じるところにも、良いとこはあるっていうか。上手く言えねぇけど』
ユウ『つまり逆転の発想ですね』
デュース『....』
"難しく考えないで。デュースのしたいことをして"
ルークたちから与えられる励ましと諭しの言葉を聞いていたデュースの脳内に、レイラの言葉が甦る
デュース『(この時のための言葉じゃないってことは分かってる。だけど...そうか。レイラもああ言ってくれていたのに、僕は無意味に考えすぎていたのか..)』
そんな時、ユウのポケットに入っていたスマホが突然ブルブルと震えだした
ユウ『あっ..』
グリム『どうしたんだ?』
ユウ『レイラからメールが来た!えっと.."心配しないで。少し林檎くんとお話ししてる"だって。良かった..』
カリム『良かった良かった!..ところで、林檎くんって誰だ?』
ユウ『多分エペルくんの事だと思います。そうだ、今どこにいるかを聞いとかないと』
連絡がつく内に急いで返信しようと、指を滑らせていると、座り込んでいたデュースが不意に立ち上がった
デュース『そうか..そういうことか!』
ユウ『わっ!?びっくりした..』
デュース『ありがとうございます。アジーム先輩、ハント先輩。僕、少しだけ見えた気がします!』
深く頭を下げてお礼を伝えたデュースの顔は先程までとはうってかわって迷いのない晴れやかなものへと変わっていた
カリム『おお?そりゃ良かった!』
デュース『あの、最後に1つ質問良いでしょうか』
ルーク『ウィ。私たちで答えられるならなんなりと』
デュース『この学園で、あれを借りられるところを知りませんか?』
『『あれ?』』