第60章 *反発アイデンティティー*
ジャミル『..成る程。ツラかった記憶だからこそ、その時の光景が目に浮かぶのか』
ユウ『あの時も僕の怒った声に泣いていたけど、本当はそれよりも前..エースたちが言い争っている時点で泣きそうになっていたに違いありません』
ジャミル『確かその時はまだ記憶が戻っていなかったはず。だが、それでも無意識に恐怖していたんだな』
ユウ『でも、これは本人の無意識で起こってることだと思うので、すぐに何とか出来る話じゃないと思います。だから先輩方、どうか協力してもらえませんか』
カリム『言い争いをとめることは中々難しいけど、未然に防いだり、レイラをその場から逃がすことぐらいは出来そうだな。よし、分かった』
グリム『相変わらず世話のかかるやつなんだゾ。まったく、仕方なしにこのグリム様が守ってやんねえとな』
ジャミル『まあ、あいつの泣き顔は見たくないし、俺も出来る限りのことはする』
ルーク『私も上手く宥め役に徹しようじゃないか』
ユウ『ありがとうございます。でも、普段の小さな小競り合いとかは平気だと思うので、ヒートアップしそうな時や本当にマズイと思った時でお願いします』
頭を下げた自分に対し全員が頷くのを確認すると、"よし"と言ってユウは立ち上がった
ユウ『レイラを探しに行きます。それに、デュースのことも気掛かりですし』
グリム『オレ様も行くんだゾ!』
カリム『オレも!』
ジャミル『俺はここに残る。この石になったエースを何とかしないといけないし、戻ってきたヴィル先輩にお前たちがいない理由を伝えないといけないからな』
ルーク『私は少し他のところに用があるから、ここで失礼するよ』
そう言うとルークは1人先にボールルームを出ていこうと歩きだした
ユウ『ルーク先輩、さっきの話ですが』
ルーク『勿論、口外する気はないから安心してほしい』
ユウ『ありがとうございます』
カリム『それじゃあ、オレたちはデュースとレイラを探しにいくか』
グリム『このドリンク持って行ってやるか。オレ様優しいんだゾ♪』
ユウ『そうだね。きっと喜ぶよ』
ペットボトルを抱えてニヤリと笑うグリムに優しく微笑むと、ユウたちは二人を探すために部屋を後にした
ポタッと3滴、心を蝕んだ