第59章 *挽回プリンス*
〔デュース〕
デュース『レイラ..どこに行ったんだ?』
夕飯も終えて風呂も済ませ、もう寝る準備は万全。なのに、一向にレイラが僕の部屋に来る様子がなかった
だからこうして探しに来たんだが..
まさか、何かあったんじゃないか?事件にでも巻き込まれたか?或いは..
デュース『他の誰かの部屋に連れ込まれた..』
ここにいるやつらが悪い人間じゃないってことは分かってるが、連れ込まれたのならそれはそれで物凄く嫌だ
そもそも、今日は僕が約束しているのに..
?『ーーー...』
『ーーー...?』
誰かの話し声?
確かあそこは洗面所があったはず。そういえばまだ見ていなかったな
声が聞こえる洗面所へ足音をたてずに近寄ってみると、その声が誰のものなのかが段々と鮮明に分かってきた
ヴィル『最後は...そう、それよ』
『こんな感じ?』
ヴィル『ええ』
こっそり中を覗いてみると、そこにはシェーンハイト先輩とこちらに背中を向けているレイラが何かをしていた
側に置いてあるあれは、先輩のお手製化粧品か?
レイラは先輩に確認しながら、化粧品を手にとって顔に塗っていく
そうか..先輩の言ったケアをしていたのか
にしても、何だか二人の距離が近くないか?いや、二人の間に何かあるとは思ってないが、どうも心が落ち着かない
『どう?』
ヴィル『いいわ。ちゃんとできてるわよ』
『んふふ..』
二人の纏う雰囲気が心なしか甘くなった気がした。勘違いだと思いたかったが、先輩の目が一瞬、愛しいものを見るようなものに変わったのを、僕は見逃さなかった
デュース『っ...』
ヴィル『あら?』
悔しくなって拳を握ったその時、僕の姿に気づいた先輩と目が合った
ヴィル『新ジャガ2号、何の用かしら?』
『え?ぁ..デュース』
デュース『す、すいません!盗み見るつもりはなかったんです!ただ、レイラを迎えに..』
ヴィル『兎を?』
『ごめんデュース。これ終わらせようと思って、お部屋行くの遅れちゃった』