第59章 *挽回プリンス*
オンボロ寮・エースの部屋
エース『...これでオッケー。レイラ、乾いたぜ』
『....』
エース『レイラ?』
ドライヤーのスイッチを切り、その場でコードを束ねて片付けながら、後ろから抱きしめるように座らせていたレイラへと声をかける
だが返事はなく、目の前の背中がゆらゆら揺れていることに気付き、抱きしめながら後ろから顔を覗き込むと、瞼を半分下ろした虚ろな瞳で、今にも寝てしまいそうな状態だった
エース『半分寝かけてんじゃん。レイラ、寝るならベッドだぞ』
『...ん...』
エース『ダメだこりゃ。仕方ねぇな..オレが運んであげますよ、お姫様』
殆ど夢の中状態のレイラを抱き上げると、そっとベッドの上へと降ろし、愛おしそうに上から見下ろした
『んん...冷たい』
エース『あーまだ布団冷たいか。その内温かくなるから我慢な』
『ぁぅ...ぅ...ん?』
真冬のベッドはあまりにも冷たかったせいか、次第にレイラの意識が覚醒し始め、ついには完全に目が覚めてしまった
エース『あ、起きた?』
『ベッド冷たい..起きちゃった。でもいい。エースとまだお話しできるから』
エース『かっわ..オレも、レイラとまだ話してたい。.....それに、レイラの意識ないまま触って怒られるのイヤだし(小声)』
『?』
エース『レイラ。オレに兎の癒し、やってくんね?』
『んふふ..いいよ。何がいい?何されたい?』
兎の癒しと聞いて楽しそうに微笑むその姿が、愛らしさの中に妖艶さがにじみ出ていて、エースは思わず息をのんだ
エース『っ..//じゃあ、とりあえずキスして』
『ん』
小さく頷くと、寝転がっていた身体を起こし、エースの首に腕をゆっくりと回しながら身体を密着させていく。その一連の流れにまた妖艶さを感じ、激しく鼓動が高鳴った
エース『あの、さ..そういうのマジ勘弁..//』
『?ごめん、ダメだった?』
エース『いや、ダメじゃなくて寧ろ良いんだけどさ..我慢できなくなるから。オレも、健全な高校生なわけよ..//』