第59章 *挽回プリンス*
『カリムさん、良い人だよね』
ユウ『他の寮長とは全然タイプが違いますね。こんな真っ直ぐな人が何で闇の鏡に選ばれたんだろ..?』
グリム『本当なんだゾ。良いやつ過ぎて、オレ様耳の後ろがムズムズする』
カリム『えぇ?何か変なこと言ったか?オレ?』
エペル『変ではないですけど、この学園にいる他の人達とはちょっと違う感じがする..かな?』
エペルのそんな意見に賛同するように、カリム以外の全員が心の中で大きく頷くと、思い出したようにカリムが口を開いた
カリム『あ、そういやオレ、この学園に2ヶ月遅れで途中編入してきたんだ。それと何か関係あんのかなぁ?』
『『『えっ!!??』』』
エペル『この学園、編入なんか出来るんだ..』
カリム『そんなに驚くことか?監督生だって特別編入だろ?』
ユウ『それは、ただの手違いというか..』
エース『ナイトレイヴンカレッジって、闇の鏡に魂が選ばれたやつしか入れないんじゃないの?』
カリム『うん。でも、ジャミルが地元を離れて1ヶ月くらい経った頃、うちに突然学園から入学許可証が届いたんだよ。
選定漏れだか、特別枠だか忘れちまったけど。その後すぐに黒い馬車がオレを迎えに来たぜ』
デュース『後から魂の資質が認められたってことか..?』
ジャミル『ふん。そもそも闇の鏡が魂の資質で生徒を選ぶことすら、本当かどうか疑わしい。
あの学園長のことだ。どうせアジーム家からの寄付欲しさに裏口入学を決めたんだろうさ』
おかげで自由な学園生活がパァだ、と恨めしそうにブツブツと呟いていると、すぐ横にいたレイラが心配そうな面持ちで見上げていた
呟いた声もウサギ特有の耳の良さで聞いていたのか、ジャミルと目が合った瞬間、傾けていた耳を申し訳なさそうに垂らす
『...ごめん』
ジャミル『いや、別にお前ならいいさ。気にするな』
俯いた頭を優しく撫でてやると、少しだけ表情を明るくして"ありがと"と微笑んだ
カリム『オレはこの学園に来られて、毎日楽しいぜ。ジャミルとも改めて友達になれたしな!』
ジャミル『だから、俺とお前は友達じゃないって言ってるだろうが..!』