第8章 *先輩サウザント*
ケイト『じゃあ作っちゃえば?あのタルトも全部トレイくんが作ったやつだし』
エース『あのタルト、トレイ先輩が作ったの?すげー!売り物みたいでしたよ』
『トレイさん、お菓子作れるの?...スゴい、カッコいい』
トレイの手を取り、瞳をキラキラさせながら上目遣いで見つめられ、頬を少し赤らめながら照れ隠しに視線を反らす
トレイ『あ、ありがとな...//そこまで言われるほどじゃないけど....。確かに器具や調味料なんかは一通り揃えてあるが...タダで提供するわけにはいかないな』
エース『えぇ~!金とるのかよ!』
トレイ『はは、後輩から金を巻き上げるわけないだろ』
エースの言葉に可笑しそうに笑うと、ある一つの条件を提案した
トレイ『リドルが次に食べたがってたタルトを作るのに栗が沢山いるんだ。集めてきてくれないか?』
エース『どっちにせよめんどっ。で、どれくらい栗が必要なんすか?』
トレイ『"なんでもない日"のパーティーで出すとすると...2~300個くらいかな』
予想もしていなかった量に、トレイとケイト以外から"そんなに!?"という声が響く
トレイ『栗に熱を通して皮を剥いて裏ごしするところまで手伝ってもらおうか』
グリム『オレ様帰っていいか?』
デュース『俺も』
エース『薄情もの!』
『エース...私手伝う。早くエースに元気になってほしい』
二人の覚めた声に嘆くエースの袖をクイクイと引き、手袋で包まれた手を取る
エース『ホ、ホントか!?ありがとレイラ~っ』
感極まって抱きつくと"ぐぇっ"という声がしたものの、すぐに背に腕が回されピッタリとくっついた
『『『(羨ましい...)』』』
『~♪...みんなもやろ?』
エースの温もりに気持ち良さそうにしていたレイラだったが、ポンッとエースの腕の中から顔を出し、こちらを羨ましそうにしている三人を見つめた
ケイト『そうそう!皆で作って皆で食べたら絶対美味しいって(なんだろ....この)』
トレイ『寮長には内緒だけどマロンタルトは作りたてが一番美味いんだ。出来立てを食べられるのは作った奴だけだぞ(胸の奥がチリッと痛む感覚は....)』