第58章 *創造シルキー*
〔No side〕
オンボロ寮・談話室
ヴィルに手を引かれながら談話室へと足を踏み入れると、そこには真っ暗な空間に複数の影が何かを食べているような音が聞こえてきた
『??エースたち?』
ヴィル『そこにいなさい』
『ん』
言われるままにその場で待っていると、ヴィルは談話室の電気に手をかけてカチッとスイッチをONにしながら、部屋の奥へと進んでいく
ヴィル『あらあら、夜中にキッチンで何をしているの?子ネズミたち』
グリム『ふなっ!?この声は..ヴィル!?』
そこにいたのは、没収され冷蔵庫にしまっておいたトレイ特製のタルトやケーキを頬張るエースたちの姿だった
『ぁ..食べちゃったんだ』
ヴィル『言いつけを守れない子は、お仕置きよ』
そう言いながらマジカルペンを取り出した。それは取り出された瞬間、光を放ちながら一冊の魔導書へと姿を変えて、ページを捲るとそこからいくつものエネルギー体がエースたちへと降り注ぐ
エース『おわっ!!』
デュース『ま、待ってくださいシェーンハイト先輩っ!』
グリム『ふに"ゃ!!』
いきなりの攻撃にエースたちは必死に逃げまくることしかできなかった。散々逃げ続け、ようやく攻撃がやんだのを期にエースは反論の言葉を返した
エース『オレら育ち盛りっすよ!夜中に腹減るのくらい当たり前じゃん』
デュース『ハーツラビュル寮生としては、クローバー先輩の手作りスイーツを無視することは、どうしてもできねぇっていうか..!』
ヴィル『ーーーそろそろ時間ね』
エースたちの言葉にも我関せずといった様子で、壁にかけてある時計を見上げながらポツリと呟く
『時間?』
エース『はあ?時間って...うっ!?』
グリム『ふがっ!?』
デュース『..ぐっ!?』
ヴィルの呟きに疑問を浮かべたその時、3人の体に突然痺れるような異変が起こり、ドサッと床に倒れこんだ
ユウ『きゅ、急に倒れた!?みんなどうしたの!?』
異変に驚いて慌てて駆け寄る。3人はその場から必死に立ち上がろうと床に手をつこうとするが、指先すら動かせずにいた
エース『か、身体が、痺れ...』
グリム『うぐぐ、立ち上がれねぇんだゾ...』
デュース『これは一体..っ?』