第58章 *創造シルキー*
頭を撫でた後、今度こそ身体を離してカリムは、3人に手を振って急ぎ足で寮へと戻っていった
カリム『おやすみ、ユウ、レイラ、グリム!』
去っていったカリムを見送ると、レイラの背にゾクッとした寒気が走り抜けた
『ぁぅ...寒い』
ユウ『レイラ、こっちにおいで』
ユウは手招きすると、素直に寄ってきた寒さに震える身体を抱き締め、冷たい小さな手を包み込んだ
ユウ『すっかり冷えちゃったね』
グリム『ユウ、レイラ、オレ様も早く部屋に戻ろうぜ。肉球の裏がヒエヒエなんだゾ』
ユウ『そうだね、早く戻って布団の中で暖まろう。風邪引いちゃったら大変だ』
ユウはレイラの手を引き、横に並んだグリムと共に寮へ戻っていった
ジャミル『.....』
木の影からこちらの様子を立ち聞きしていた人物に気がつくことなく
オンボロ寮・自分達の部屋
『まだ冷たい..』
ユウ『入ったばかりだからね。暫くすれば僕たちの体温で温かくなるよ。さあ、ギュッてしてあげるから目を閉じてもうおやすみ』
『...おやすみのキス、は?』
ユウ『勿論、するよ』
『ん....』
腕に閉じ込めた身体がモゾモゾ動くと、顔を近づけてキスをせがむ。それに応えて触れるだけのキスを贈ると、満足したように笑いながら、自身の胸に顔を埋めて目を閉じる愛らしい姿に鼓動が高まる
ユウ『可愛すぎだよ...おやすみ、レイラ』
『おやすみ、ユウ』
ユウ『グリムもおやすみ』
『おやすみ』
グリム『お~..』
暫くすると部屋に穏やかな寝息が聞こえ始め、ユウとグリムはすっかり夢の中へと落ちていた
そんな中、レイラは1人目を覚ましていて、目の前のユウが完全に寝ているのを確認すると、起こさないように腕から抜け出して、あるものを手にするとそっと部屋を出ていった