第58章 *創造シルキー*
カリム『そうだな。頑張るから応援してくれよ!騒がしくして他のやつらを起こしたくないし、歌の練習はやめにして、今日は寝るとするぜ』
ユウ『また明日頑張りましょう』
カリム『おう!...あ、1個忘れてたことがあったんだった』
思い出したように顔をあげると、レイラの側へと雪を踏みながら近づいた
『?どしたの、カリムさ...わっ』
小首を傾げるレイラの後頭部と腰に手を添えて強く抱き寄せた
突然の抱擁に驚いたものの、抵抗することなくカリムの与えてくれる温もりに身を委ねていた
カリム『...今日オンボロ寮に来て、レイラがユウたちと仲良く触れ合ってるのを見てたらさ..すげぇ胸の辺りがモヤモヤして痛かった』
『え..』
カリム『おかしいよな。でも、最近お前が誰かと仲良くしてるのを見るたびにそうなるんだ』
ユウ『それって..もしかして嫉妬、なんじゃないですか?その気持ち、僕も凄く分かるから..』
グリム『オメーたちはいつでも嫉妬しまくってるからな』
カリム『そうか..これが"嫉妬"なんだな。うん、今こうしてレイラを抱き締めたら、痛くなくなった。きっと、お前に触れられて満足してるんだな』
耳元で囁くように紡がれる安堵に満ちた声は、レイラの耳を優しく掠める。自分に向けられた彼の想いが嬉しく、そっと目を閉じてカリムの背に腕を回した
『嬉しい..カリムさんに、そう思ってもらえて』
カリム『レイラ...オレ、お前のこと好き、なんだろうな』
『好き?』
カリム『いや、前から好きではあったんだけど、なんか最近は違う好きっていうか...う~ん、難しいなぁ』
『でも、カリムさんは私が他の人と仲良くしてるのにモヤモヤしたんでしょ?』
その問いに無言でコクンと頷くと、レイラは少し身体を離すと優しく微笑んだ
『今はそれだけで充分。その気持ちがどんなものなのかは、これから知っていこ?』
カリム『...そうだな。時間はまだまだあるもんな。今はレイラとこうして触れ合える時間を大切にしていくよ』
そう言って額にキスを落とすと、もう一度強く抱き締めた
カリム『..こんなにも細かったんだな』
『ん?』
カリム『いや、なんでもない』